アデコは、2020年4月1日付けで義務付けられている同一労働同一賃金導入に向けた準備の進捗状況と、導入後の見通しに関する調査を実施し、2019年4月10日にその結果を発表した。
それによると、大企業の7割以上が、依然としてどのように対応するかの方針を固められていないことがわかった。
導入の課題は「基本給」が7割弱で最多
大企業で人事業務に携わっている500人に対し、「あなたの勤務先では、『同一労働同一賃金』の導入についてどのように対応するか、方針は決まっていますか」と質問したところ、「すでに決まっている」と回答したのは全体の27.0%だった。
「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」と回答したのが55.0%、「まだ決まっていない」と回答したのが18.0%で、全体の7割以上にあたる73.0%が、「同一労働同一賃金」導入まで1年を切った現在でも、どのように対応するか方針を固められていないことがわかった。
また、「あなたの勤務先での『同一労働同一賃金』の導入における課題は、何に関することですか」と質問したところ、もっとも多くの回答者が課題であると回答したのは「基本給」(68.8%)、次いで「賞与」(65.0%)となった。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の基本給に関する対応方針が決まっていると答えた311人の回答を見ると、半数以上となる52.1%の企業で、非正社員の基本給が現在に比べて「増える」見込みであることがわかった。
一方、正社員の基本給については、「変わらない」が6割(60.1%)となった。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の賞与に関する対応方針が決まっていると答えた303人の回答を見ると、39.9%の企業で非正社員の賞与が現在に比べて「増える」見込みで、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」(15.2%)と合わせると、5割を超える55.1%の企業で、非正社員の賞与収入が増える見込みとなった。
正社員の賞与に関しては、「変わらない」が約7割(66.0%)だった。
約3割の企業で非正社員の退職金が「増える」見込み
また、勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の手当て(通勤手当て、住宅手当てなど)に関する対応方針が決まっていると答えた314人の回答を見ると、非正社員に対する手当てが「厚くなる」との回答が3割以上(31.5%)だった。
一方で「変わらない」も4割超(44.9%)となった。正社員に対する手当ては、「変わらない」が74.2%だった。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の退職金に関する対応方針が決まっていると答えた281人の回答を見ると、約3割(27.0%)の企業で、非正社員の退職金が現在に比べて「増える」見込みであることがわかった。
また、17.8%が、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」と回答した。正社員の退職金に関しては、「変わらない」が約7割(68.7%)となった。
勤務先で「同一労働同一賃金」導入後の正社員と非正社員の休暇に関する対応方針が決まっていると答えた340人の回答を見ると、約3割(28.5%)の企業で、非正社員の休暇が現在に比べて「増える」見込みであることがわかった。
その一方、「変わらない」との回答も5割を超えた(51.5%)。正社員の休暇に関しては、「変わらない」が約8割(79.7%)となった。
※本調査は2019年4月時点のもの。
調査は、日本全国の従業員300人以上の企業に正社員として勤務し、人事業務に携わっている500名を対象に2019年3月29日~4月1日の間で実施された。
<参照元>
『同一労働同一賃金導入に向けた準備の進捗状況と、導入後の見通しに関する調査:大企業の7割以上が、依然として対応方針を固められていない』