制度が“企業文化”を体現する。面白法人カヤックの文化を彩る福利厚生

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【面白法人カヤックの福利厚生】

○スマイル給&コブシ給

【制度内容】
毎月1回、カヤックメンバーに対してメッセージを送る制度。なお、メッセージを送る相手は毎月ランダムに決定される。スマイル給はメンバーの良いところや褒めポイントなどを記載し、コブシ給では相手への注意や助言などを記載する。

また、このメッセージ制作を通して相手のことや自身を振り返るきっかけになりつつ、そこまで面識がなかったメンバーと接するきっかけ作りにもなる。

○360度フルオープンフィードバック

【制度内容】
半年に1回、自身の振り返りとそれに対する周囲からのフィードバックを受ける制度。大きな特徴は、通常の360度評価とは違い全社員に一連のフィードバック内容がWeb公開される点。さらに、フィードバックやその内容を見た社員もコメントができる。

これにより、特定の評価者からの評価だけではなく、会社全体からしっかりと公平な評価やフィードバックをもらうことができる。

「周囲からの評価がその人を表す」カヤックが特色ある制度を導入した背景

ここからは、なぜこのような制度が導入されたのかを担当者であるカヤック広報 金田氏に語ってもらった。

――早速ですが“スマイル給とコブシ給”についてその制度が導入された背景を教えてください。

金田氏(以下、敬称略):スマイル給は大手ファストフード店からヒントをもらいました。相手がハッピーになる内容を言葉として伝えることで、相手も自分もスマイルになるからです。その一方で、相手に注意してほしいことや助言をコブシ給という形で表すことによって、ネガティブな面も同時に伝えられます。

――“360度フルオープンフィードバック”についてはいかがでしょうか?

金田:360度フルオープンフィードバックは、評価への不満を減らすことが目的です。特定の人物にのみ評価をされる状態だと「本当に自分のことを見てくれているのか?」という気持ちになりかねません。

それはモチベーション低下や退職にもつながりかねないからです。また社内には「周囲から何となく集まる評価は、その人のことを形どっている」という考えもあるため、カヤックとは相性の良い人事評価制度だと思います。

「評価が会社を面白くする」カヤック社員に与えるメリット

――これまでに福利厚生を通してメリットや強みに感じたのはどのようなところでしょうか?

金田:社内コミュニケーションのきっかけができたことです。カヤックは社員のおよそ90%がクリエイターのため、チームでは動きつつも一人の作業時間が多くなってしまいがちな時もあります。

だからこそ、これらの福利厚生や人事制度が、業務上の接点が少ない社員を知るきっかけになったり、会話をしたりするフックにはなっていると感じています。社外に対しては、ブランディング面においてインパクトがありました。

――金田さんから見た、カヤック福利厚生の特徴を教えてください。

金田: “評価”は会社を面白くするために必要な文化ということです。カヤックは、“面白い”を第一に考える企業です。だからこそ、「面白いものが作れたか?」「自分も面白がって仕事をできているか?」が求められます。自分の評価や結果をオープンにすることで、周囲により面白いものを作り出すための作業を手伝ってもらっていると捉えています。

「本質は続けるからこそ企業に根付く」福利厚生は企業の土台

では実際、福利厚生を利用する社員はどのように感じているのだろうか。企画部にてゲームプロデューサーとして活躍する綿引氏も交え、お話を伺った。

――綿引さんの福利厚生に対する印象を教えてください。

綿引氏(以下、敬称略):“スマイル給とコブシ給”を通して感じるのは、「周囲は思ったよりも、しっかりと自分を見ている」です。

例えば、ある上司からもらったスマイル給に推薦本が書かれていました。実はその本、丁度同じタイミングで課題解決の一歩として読んでいたのです(笑) 自身が抱えている課題と同じものを感じ取ってくれたことが嬉しかった。コブシ給も同じ理由から、真摯に受け止めるようにしています。


綿引氏が受け取ったスマイル給とコブシ給

――福利厚生が企業で働く人の関係性や絆を深めている印象を受けました。

綿引:もしかしたら外からは福利厚生の一つという見え方をするかもしれませんが、私は企業文化のひとつだと思うのです。

カヤックには「ありがとう」を増やすという文化があります。まさにスマイル給もコブシ給もその企業文化の本質を体現しているのです。こうした企業文化を形成する本質的な福利厚生が増えていくことは、カヤックがより良い会社になるためにも重要だと思います。

――金田さんはいかがでしょうか?

金田:綿引さんの言う通りです。カヤックでは本質的な制度や文化だけが残ります。代表の柳澤も「何があってもカヤックの本質を無くしてはだめ、その礎となる制度は何としても続けることが大切」とよく話しているぐらいです。こうした福利厚生がカヤックを作る土台となり、それが文化として形作られるように感じます。

――2人の言葉から、福利厚生がカヤックを作る土台になっていることをひしひしと感じます。金田さん、綿引さんありがとうございました。

●今回ご取材させて頂いた会社
面白法人カヤック。1998年に“合資会社カヤック”として設立。鎌倉を拠点にシティープロモーションやゲーム事業、Web制作事業など、日本的面白コンテンツ事業を展開している。

<THE NEW 制度 とは>
世の中の働き方が変化する時代に、様々な企業がどんな制度を用いて会社環境や労働環境に向き合っているのか? 「福利厚生」「人事制度」「評価制度」など、各企業が取り入れる新たな制度を探っていくコーナー。

取材・文/杉本 愛
写真/西村 克也

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