テクノプロ・ホールディングスは、同志社大学STEM人材研究センターの協力のもと、「エンジニア給与の日米比較」調査を実施し、その結果を2019年4月8日に発表した。

調査によると、日本においては他の職業と比較した際のエンジニアの相対的な給与水準がアメリカよりも低く、また調査期間の8年間でエンジニア年収が上昇したアメリカとの差がさらに拡大していることが明らかになったという。

調査結果の概要は以下のとおりだ。

  • 日本では、技術職の年収水準は管理職やその他の専門職に比べ低い。アメリカでは専門職、特に技術専門職の給与は、全体の中で高位に。
  • 日本の技術職の給与水準は調査期間中にあまり上昇しておらず、平均給与が上がったアメリカとの差が拡大。
  • 給与の金額でも、日本の技術者はアメリカに対し6割程度と低い水準。管理職では、日米の給与水準に差はない。

技術関連職の給与水準が上昇するアメリカ。日本はあまり上がらず

日本では高度専門職の医師や管理職、高校教員などの年収水準が本調査の職種内において上位に存在しており、技術者やSE、プログラマーなどはそれに次ぐ中間の層に位置付けられている。プログラマーの給与水準は技術者(士)やSEなどに比べて低く、中間の層と低位グループの間に位置する形だ。

一方、アメリカの技術関連職種の平均年収は男女とも医師や薬剤師などに次いで上位に分類されており、中でも女性の技術職の給与水準は部長、課長などの管理職よりも同等かそれ以上の位置にあるという。

調査結果のコア年齢(35~44歳)において、2009年と2016年の数値を日本とアメリカで比較したところ、アメリカでは中小企業(規模10人~999人)、大企業(規模1000人以上)のどちらにおいても技術者、SE、プログラマーなど技術関連職の給与水準が上昇して他職種に対する位置が相対的に高まっている。日本ではこれらの技術職の平均給与はあまり上がっておらず、アメリカとの差が拡大していることが明らかになったという。

日米のプログラマーの給与分布を比較しても、日本のエンジニアの給与水準はアメリカを大きく下回っている。一方で、管理職の給与水準には大きな差が見られない。


<調査概要>
調査データ:(日本)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2009年、2016年)/総務省「就業構造基本調査」(2012年)
(米国)Bureau of Labor Statistics “Current Population Survey “(2009, 2012、2016)を元に分析
実施期間:2018年5月1日~9月30日
データ:「賃金構造基本統計調査」については、公表集計データ、「就業構造基本調査」は、特別集計結果を利用。
“Current Population Survey “については、公開されている匿名個人データ約14000サンプルを利用。

<参照元>
「米国と比べエンジニアの給与水準が相対的にも、絶対的にも低い日本 日米格差は過去より拡大」