シェアリングエコノミー協会は、情報通信総合研究所と共同で、日本のシェアリングサービスに関する市場調査を実施。「シェアリングエコノミー市場調査2018年版」を発表した。

本調査では、18年度のシェアリングエコノミー経済規模が過去最高となる1兆8,874億円を超えること、30年度には11兆1,275億円と、約6倍の予測になることがわかった(情報通信総合研究所調べ)。

さらに、シェアリングエコノミーサービス提供者(シェアワーカー)は、「シェアリングサービスによって生活が充実するようになった」との回答が約3割と高く、幸福度の向上も実証された。

【1】市場規模の推計結果

18年度のシェアリングエコノミー市場規模は過去最高の1兆8,874億円を記録した。30年度ベースシナリオ(現状のペースで成長した場合)は5兆7,589億円、30年度課題解決シナリオ(成長の課題か解決した場合)は11兆1,275億円と推計される。

ここでの市場規模とは、プラットフォーマーでの売上ではなく、サービス提供者と利用者間の取引金額と定義している。

課題解決シナリオについて

シェアリングエコノミーの成長には低い認知度や、個人が提供するサービス利用への不安といった課題が存在する。そこで、サービス提供側・利用側双方について、以上のように成長課題が解決した場合を想定したうえでの市場規模も算出している。

【2】既存産業への経済波及効果

既存産業への経済波及効果は18年度で1兆4,000億円、30年で8兆円を予測しており、製造業、不動産、サービス業に大きく影響することがわかった。

また、シェアリングエコノミーサービスを通じて個人が得た収入から製造業やサービス業などの既存産業へ及ぼす経済波及効果(各産業の生産額の増加額)は18年度で1兆4,120億円、30年度課題解決シナリオでは8兆1,381億円であり、シェアリングエコノミーの成長は既存産業へもかなり好影響を与えることが判明した。

【3】幸福度・社会とのつながりへの関係

シェアリングエコノミー利用者とそうでない人を比べると、全ての項目でシェアリングエコノミー利用者がつながりや幸福度を感じる割合が高いことが確認された。

【シェアリングサービスを使用する理由】

「低価格」の回答割合が最も高いサービスばかりではなく、どのサービスでも「他では利用できないサービスが利用できる」という理由の回答割合が高い。その回答者のうち、企業が提供する類似サービス(民泊の場合はホテルや民宿、対面型のスキルシェアであれば家事代行サービスなど)に比べて高価格でも利用するかを尋ねたところ、モノのシェア(売買)以外は半数以上が高価格でも利用すると回答した。安いからシェアサービスを使うのではなく、むしろ高くても使うという人も多いことがわかった。

さらにサービス提供者がサービスを使用する理由として「生活の充実」を回答した割合が最も高い結果となった。


※本調査では、全国の20-60代の男女(プレ調査29,629人、本調査2,509人)を対象にアンケートを実施している。

<参照元>
『シェアリングエコノミー関連調査結果』