ヴァリューズでは、一般ネットユーザーの行動ログを用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使い、スマートフォン決済アプリ「PayPay」の利用動向を調査し(※)、その結果を公開した。
2018年12月「100億円あげちゃうキャンペーン」で注目を浴びたPayPayでは、2019年2月12(火)より日常的な決済利用の定着を図るため「第2弾100億円あげちゃうキャンペーン」を実施している。主な調査結果は、以下のとおりだった。
- 月次利用ユーザー数、1月は落ちこむものの2月に急回復し600万人に迫る
- 2月時点での所持ユーザー数は774万人
- キャンペーン開始後の日次起動ユーザー数、231万人を記録
- 主要決済アプリの、1日平均起動回数は大差なし
- キャンペーン以外で獲得したユーザーの方が高ロイヤリティ
- 女性には第1弾のキャンペーンの方が効果的だった
月次利用ユーザー数、1月は落ちこむものの2月に急回復し600万人に迫る
主要決済アプリの月次ユーザー数推移より、第2弾キャンペーンが前回よりPayPayユーザーを集めていルコとが明らかとなった。第1弾のキャンペーン終了後の1月には、利用ユーザー数は441万人にまで落ち込んでいたものの、2月は前月比36%増の599万人へ急増。
第1弾のキャンペーンでPayPayに抜き去られた楽天ペイ、Origami決済アプリは、この間にユーザー数で逆転するまではいかないものの、右肩上がりで増加。このことから、同社はPayPayキャンペーンがスマホ決済の注目を集めるきっかけとなっており、市場自体の拡大に寄与した推測している。
2月時点での所持ユーザー数は774万人
日次の主要アプリインストールユーザー数をみると、第2弾キャンペーンによって新規インストールユーザー数を着実に増やしていることがわかる。第2弾キャンペーン期間中でみると、PayPayのインストールユーザー数は、2月13日の99,000人が最多に。2月16日(土)にも85,000人がPayPayをインストールした。
12月9日(日)に603,000人のインストールを記録した第1弾キャンペーンと比較すると控えめであるものの、2月12日(火)~2月28日(木)の17日間で、合計70万人以上が新たにPayPayをインストールした計算となる。この結果、2月時点でのアプリ所持ユーザー数は774万人に到達している。
ほかの主要アプリのなかでは楽天ペイが2月21日(木)に45,000人をマークしているものの概ね20,000人以下で推移していることから、同社はPayPayの強さが目立つと指摘している。
キャンペーン開始後の日次起動ユーザー数、231万人を記録
日次起動ユーザー数をみると、キャンペーン開始日2月12日(火)の205万人から少しずつユーザー数を増やし、2月15日(金)の日時起動ユーザー数は231万人に到達。キャンペーン終了日の12月13日(木)に471万人が起動した第1弾には及ばないものの、1日でその半数近くを稼いだ計算となる。同社では、第2弾キャンペーンでは思惑通り日常的な決済利用が進んだものとみられると語っている。
主要決済アプリの、1日平均起動回数は大差なし
PayPayの1日あたりの平均起動回数をみると、2月12日(火)は2.00回、2月13日(火)は2.03回で、第1弾キャンペーン終了後に1.3回程度に落ち込んでいた利用を着実に取り戻している。3カ月間の1日あたりの平均起動回数をみると、PayPay1.67回、Origami決済アプリ1.60回、楽天ペイ1.54回となり、ユーザー数ではPayPayが突出しているものの、既存ユーザーの定着度では大差がなかった。
キャンペーン以外で獲得したユーザーの方が高ロイヤリティ
PayPayユーザーのロイヤリティをインストール時期で確認したところ、第1弾キャンペーン期間中にインストールしたPayPayユーザーのアプリ起動回数は、2019年1月-2月で1日平均1.60回に。一方、キャンペーン期間外にPayPayの利用を開始したユーザーの1日平均起動回数は1.71回となり、キャンペーン期間中にインストールしたユーザーの方がロイヤリティは低いという結果になった。
日次のデータにおいても、「期間中」のユーザーの起動回数が「期間外」のユーザーを上回ったのは2月6日(火)、2月18日(月)など、ごくわずかにとどまった。2週間単位での平均値をみても、「期間外」ユーザーの起動回数は「期間中」を上回っている。一度に541万人のユーザーを得た第1弾キャンペーンであったが、同社は、ロイヤリティでみると、キャンペーン外に利用開始したユーザーの方が高いとの見解を示した。
女性には第1弾のキャンペーンの方が効果的だった
今年に入ってからPayPayを起動したユーザー数をみると、男性は64.9%で女性より多い傾向に。インストール時期別でみても、「期間中」は「期間外」と比べ女性が多く、同社では女性ユーザーには第1弾キャンペーンが有効だったといえそうだと指摘した。
<※調査・分析の概要>
・ヴァリューズ保有モニターパネル(20代以上)のスマホ行動ログデータを用いて、「PayPay」アプリ及び主要決済アプリのユーザーの行動ログを分析。
・行動ログはネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用。
・アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
・「LINE Pay」は決済機能単独でのログが取得できないため、主要アプリの対象外。