マクロミルでは、消費者マインドや消費動向把握のため、毎週水曜日にモニタを対象とした定点観測調査を実施し、『Macromill Weekly Index』(※1)にまとめ公開している。この調査では2011年3月に開始され、現在まで8年間のデータが蓄積されている。
今回、2013年4月から2018年末までの300週分、のべ30万人の時系列データをまとめた上で、電通マクロミルインサイト(DMI)による社会情勢などの時事トピックを付加し、長期的な消費傾向の分析を実施。本データでは2014年4月の消費税増税前後のデータも含まれ、増税で「消費マインド(※2)」「消費金額(※3)」が長期的にみてどう変化しているかといった分析も行っている。
分析結果の概要(一部抜粋)は以下のとおり
- ここ5年間で、消費マインドは何度か落ち込んだが、景況感(※4)の上昇にともなって、2016年以降は上昇傾向が続いている
- 2012年4月の消費税増税により、消費マインドが2014年夏ごろに過去5年間で最低の水準に落ち込むものの、その後はゆるやかに上昇
- 「消費金額」は消費税増税前まで1.0を上回っていたが、増税後は1.0を上回っていない
- 「消費者物価指数」は増税のタイミングで大きく上昇。そのあとも緩やかに上昇し、増税前はダウントトレンドだった消費マインドが上昇に転じてきている
※1<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国20~69歳の男女 1,000サンプル
割付方法:エリア×性別×年代(10歳刻み)で人口動態による割付
調査日程:毎週水曜日実施
調査機関:マクロミル
ここ5年間で消費マインドは何度か落ち込むも、景況感の上昇に比例し2016年以降は上昇傾向が続く
「消費マインド」と「景況感」の時系列変化
2013年4月から300週にわたって『Macromill Weekly Index』の定点調査で取得した消費マインド、景況感を時系列で分析した。消費マインドは毎年、年末にピークとなり年始で一気に下降するという周期性があるが、2014年4月に消費税が増税した際は大きく下降。そのほか、2015年6月の中国株の大暴落に伴う世界同時株安の際も同様の下降がみられる。
しかしながら2016年以降は、景況感の継続的な上昇に比例するかのように、消費マインドも年単位の周期変動を繰り返しつつ上昇傾向が続いている。
消費マインド、2014年4月の消費税増税で落ち込むも、その後は上昇傾向が続く。しかし消費金融はもとに戻らず
「消費マインド」と「消費金額」の長期トレンドの比較(対2013年4月比)
個人の1週間の「消費金融」(※4)と消費マインドのなかから、季節変動などを省いて長期的なデータの変化傾向をあらわす長期トレンドを抽出したものに、総務省による「消費者物価指数」を重ねて分析。
2014年4月の消費税増税の際は消費マインドが落ち込み、2014年夏ごろには過去5年間で最低の水準まで落ち込んでいるものの、そのあとは緩やかに上昇。約3年半後には2013年4月の水準まで回復している。
たいして消費金融に関しては、増税前は1.0を上回っているものの増税後は1.0を超えていない。「消費者物価指数」は増税により大きく上昇。そのあとも緩やかに上昇の傾向がみられる。同社では、この価格上昇の影響をうけ、増税前はダウントレンドだった消費マインドが上昇に転じているとみている。
(※2)「消費マインド」:
今後1カ月間の消費金額予想について聞いた5段階評価の回答結果に、「大幅に増える(100点)、やや増える(75点)、変わらない(50点)、やや減る(25点)、大幅に減る(0点)」と点数を与えたときの平均値。50よりも大きければ消費は増え、50よりも小さければ消費は減るという1つの判断材料となる。
(※3)「消費金額」:
過去1週間に個人がモノやサービスに対していくら支払ったのかを聴取し、個人ごとの消費金額の平均値を算出したもの。週単位での消費金額の変動をみるために家賃や水光熱費、通信費などの固定費用は含めていない。
(※4)「景況感」:
今の身の回りの景気について聞いた5段階評価の回答結果に、「良い(100点)、やや良い(75点)、変わらない(50点)、やや悪い(25点)、悪い(0点)」と点数を与えたときの平均値。
<参照元>
定点観測調査『Macromill Weekly Index』、5年間(のべ30万人)の「消費マインド」「消費金額」時系列データのトレンドを分析
MACROMILL