凸版印刷とTISは2019年3月19日、両社が共同で取り組んでいるXR(VR、AR、MR、SRなどの総称のこと)技術について、今回、時間と場所を超えて説明や指導を可能にする技術を開発したと発表した。
この技術は、VRとARを組み合わせることにより、物理的には遠く離れた別の場所にいる人物が、あたかも同じ空間内に存在しているかのような状況を作り出し、遠隔でのコミュニケーションを可能にするものである。
遠隔地をVRとARを用いてシームレスにつなぐ
両社によると、従来の技術であるVR空間を使った遠隔共有技術では、実作業を行う場合には、ヘッドマウントディスプレイを外して作業を行う必要があり、VR空間と実空間の行き来に煩雑さが発生していた。
また、AR空間を使った遠隔共有では、空間共有をする上でそれぞれが実際にいる場所の違いが、作業に差異を発生させてしまう問題を引き起こしていた。
新技術はこれらの課題を解決し、遠隔地をVRとARを用いてシームレスにつなぐ機能を有している。
以下に主な機能を挙げる
- リアルタイム共有(モーション・位置・音声)
- 空間マッチング(遠隔地と現地の空間情報の自動座標調節)
- XR技術(VRとARで相互指示情報の連動)
- AR表示(ARキャラクター、付帯情報のAR表示)
- VR操作(3次元スキャンされた現地空間の表示と移動をVR空間で行う)
- 音声・モーション情報の記録・再生(説明や動作のアーカイブ)
両社は、共同で進めているXR分野における新技術活用プロジェクトについて、自動車製造やプラント建設など専門技能の継承が課題とされている工業を始め、知識や文化を伝えていく教育・観光、テクニックやコツを伝えていく芸能・スポーツ、もてなしやサポートを行う接客など、さまざまな業種業態での共創へと広げていき、社会課題の解決を目指す方針だ。
たとえば、VRを用いた工場などの技能研修が普及しつつある昨今において、そのコンテンツを活かして作業現場でのリアルタイム遠隔技術指導に発展させることができる。
また、指導成果を集約した独習コンテンツの作成や、利用ログの解析によるコンテンツの改善点を発見することが可能になる。
今後は応用分野を広げ2021年までに約30億円の売上を目指す
そして、両社は今回の技術の用途検証を進めるにあたり、凸版印刷の運営する東京都文京区にある印刷博物館で、観光分野に適用した場合の実証実験として、遠隔からの施設アテンドを行った。
これにより、VR/ARコンテンツを用いて、遠隔地から観光施設・展示場などのガイドを行う有用性を検証したとのことだ。具体的は、VR/ARコンテンツを用いた観光施設ガイドの有用性の検証と、遠隔地にいても観光施設・展示場をガイドする実用性の評価を行った。
今後、凸版印刷とTISはこの技術のさらなる改良を進めていく。また、製造業や小売業、教育、観光などへ応用分野を広げ、2021年までに関連受注含め約30億円の売上を目指すとしている。
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