INDEX
今年4月1日には新元号が発表され、5月1日には改元が行われる。新たな時代のはじまりを前に、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)では、平成世代・昭和世代の住まいや地域との関わりなど暮らしに対する意識の違いを明らかにするため、「平成世代と昭和世代の暮らし意識調査」(※)を実施。その結果を発表した。
主な調査結果は以下のとおりだった。
- 平成・昭和の両世代共に半数は都会派。一方で田舎派の割合は意外にも昭和世代より平成世代の方が多い。
- 平成世代は昭和世代と比べて職住近接を重視する傾向。まちのブランドにもこだわりをみせる。
- 昭和世代より平成世代の方がお金に現実的で、SNS映えするおしゃれさを重視
- 平成世代は挨拶程度の付き合いを好み、昭和世代は平成世代より人との関わりに苦手意識が強い
- 平成世代は昭和世代よりシェアサービスの利用意向が強い
- 平成世代は「平成」の元号に思い入れが強い一方、新元号への期待も強い。昭和世代は改元を冷静に受け止める傾向。
※調査概要
- 調査方法
インターネット調査 - 実施期間
2019年2月11日~2月13日 - 調査対象
平成世代(16~29歳)/昭和世代(30~59歳)の男女
※「年代」毎でサンプル収集を行っている関係で、本調査では便宜上、30歳も「昭和世代」として調査を実施。 - サンプル数
1,000名(10~50代の各年代において、男性100名、女性100名の計200人)
平成・昭和両世代とも半数以上は都会派。田舎派の割合は平成世代が昭和世代を上回る
都会と田舎のどちらかに住みたいか、という問いでは平成・昭和両世代いずれも「どちらかといえば都会」が最も多くえらばれた。「都会」をえらんだ人もあわせると、都会派の割合は平成世代が56.8%、昭和世代は55.2%となり、いずれも半数以上が都会派だった。
一方、「田舎」「どちらかといえば田舎」をえらんだ割合をみると、昭和世代より平成世代の方が多かった。同社では、平成世代は年齢的に都会派というイメージを持たれやすいものの、昭和世代と同じように田舎を好んでいることがわかったとしている。
平成世代は昭和世代より職住近接を重視する傾向。まちのブランドにもこだわりをみせる
自分が住むまちを決める際になにを重視するかという問いでは、平成世代(58.0%)、昭和世代(62.5%)のどちらも「買い物環境の充実」を選択する人が最多だった。なお平成世代に限ってみると同率で「職場・学校の近く」がえらばれており、より職住近接を好む傾向がみられた。「友人の近く」をえらぶ人についても、昭和世代(7.7%)と比べて平成世代(14.5%)の方が多かった。この結果を受け同社では、平成世代には、自分が住むまち・コミュニティに根差した生活を求める傾向がみられるの見解を示した。
また「まちのブランド」を重視すると回答した人も、平成世代(11.5%)は昭和世代(5.3%)の倍以上となっており、同社では、平成世代にはブランド重視の傾向がみられる、とこの結果を解説した。
平成世代は昭和世代よりお金に現実的な一方、SNS映えするおしゃれさを重視する傾向
自分が住む住宅を決めるときになにを重視するかという問いでは、「家賃/価格」、「仲介手数料・更新料の金額」で平成世代が昭和世代より5ポイント以上も上回っており、よりお金に現実的な傾向がみられる。
平成世代は、「広さ」、「キッチンなどの最新設備の充実」、「デザイン性」といった項目でも、昭和世代と比べ5~10ポイント上回った。同社ではこの結果を受け、平成世代はお金に現実的な一方、SNS映えするような広さや設備、おしゃれさを求める傾向があるようだとしている。昭和世代で3位にえらばれていた「日当たり」「隣にどんな人が住んでいるか」は、平成世代には重視されていなかった。
平成世代は挨拶程度の付き合いを好む。昭和世代は人と関わるのに苦手意識をもつ
現在暮らしている地域において、家族以外のかかわりがあるかという問いでは、平成・昭和両世代いずれも「ある」との回答が5割を超えた。
「ある」と答えた人のかかわり方についてみてみると、「ご近所(挨拶程度)」が両世代とも最多に。また平成世代の近所との関わりは、「挨拶程度」が70.4%で昭和世代の68.3%を超えているのに対し、より関わりが深い「立ち話」では32.7%と、昭和世代の56.2%を大きく下回った。この結果から同社では、平成世代がより軽いかかわりを好む傾向がみてとれるとしている。
次に関わりがない理由に関しては、平成・昭和両世代ともに「地域の人と知り合う機会がない」が最多となった一方、昭和世代は「人付き合いが苦手(39.4%)」「ご近所付き合いは面倒くさい(42.6%)」をえらんだ割合が多く、平成世代と比べ5ポイント以上も上回った。同社は、意外にも平成世代より昭和世代の方が人付き合いに対する苦手意識を持っていることが明らかになったとしている。
地域とのかかわり方は昭和・平成両世代に差がない。社会奉仕活動への参加意欲は平成世代の方が強い
自分が住んでいる地域において、どんなかたちであれば関りを持ちたいかという問いでは、平成・昭和両世代ともに「挨拶や立ち話」をえらんだ割合が多く、「趣味サークル」が続いた。同社では、地域との関わりに関心が薄いと思われがちな平成世代も、昭和世代と同じくらいの酸化以降があることがわかったとしている。
「ボランティア活動」「清掃・リサイクル活動」といった社会奉仕活動に対する参加意向に関しては、昭和世代より平成世代の方が強いという結果になった。
シェアサービスの利用意向は平成世代の方がつよい
住んでいる地域にどんなシェアサービスがあれば利用したいか、という問いでは、「自動車・自転車」「駐車場」といった普及済のシェアサービスに対する利用意向が昭和・平成世代ともに高かった。一方「カメラなど趣味用品」「住宅」では、昭和世代より平成世代の方が10ポイント以上高い。さらに「キッチン」、「衣服」、「ペット」といった項目についても平成世代が多くえらんでおり、シェアサービスに関してはより積極的であることがわかった。
たいして昭和世代は、「介護(11.7%)」「高齢者見守り(15.7%)」のように、年代的に直面しやすい問題に関する内容の利用意向が高いという傾向がみられた。
平成世代は「平成」に対し思い入れが強い、昭和世代は改元を冷静に受け止める傾向
平成から新元号に変わるのをどう感じるかという質問では、平成世代は「『平成』が終わるのは寂しい」をえらぶ割合が31.8%で最も多く、昭和世代の18.2%を大きく上回った。「平成の最後に何か思い出を作りたい」をえらぶ割合に関しても、平成世代(16.5%)は昭和世代(5.5%)を大きく上回った。
このことから同社では、平成世代は自分が生まれた「平成」という時代・元号に思い入れを持っていることがわかったと述べている。
また昭和世代では「元号が変わっても何も変わらない」をえらんだ割合が38.8%で最多だったのに対し、平成世代では「新しい時代への期待感がある」、「これを機会に新たなことに挑戦したい」、「新元号に変わる際のカウントダウンを楽しみたい」といった改元に関し前向きな回答が、いずれも昭和世代と比べ5ポイント以上高いという結果となった。
同社は、2度目の改元で冷静な昭和世代と、初めての改元で大きな期待をもつ平成世代で、世代間のギャップが顕著にみられたと述べた。
<参照元>
『平成』も残りわずか「50日」!!「平成世代と昭和世代の暮らし意識調査」結果発表 平成世代のまち選びは、昭和世代よりも“職住近接”重視、さらに「まちのブランド」にこだわる一面も!
UR都市機構