2019年度の業況は、3年ぶりに“悪化”の見通し。帝国データバンクによる「業界天気図」

2019年3月8日、帝国データバンクが、「業界天気図」動向調査(2018-19年度見通し)を公開した。

TDB業界天気図は、企業業績や各種統計データ、業界ニュースなどから、各業界・分野の展望を天気図として、最も良い「快晴」から「晴れ」、「薄日」、「曇り」、「小雨」、「雨」、最も悪い「雷雨」の7段階に分類し、帝国データバンクがそれぞれ総合的に判断したもの。

100業界198分野の業界動向について、2018年度の業界天気と、19年度の業界天気図を予想し、その展望とポイントをまとめている。

調査結果のサマリーを以下に示す。

2018年度の業界天気図。「晴天」が最多も、増加幅は少数にとどまる

2018年度の業界動向は、「快晴」・「晴れ」・「薄日」を合わせた「晴天」が、90分野(前年度比5分野増)となった。

「小雨」・「雨」・「雷雨」を合わせた「雨天」が43分野(同2分野減)となり、業況が良い「晴天」の分野が「雨天」47分野上回っている。

晴天となっているのは、訪日外国人需要が旺盛な『ホテル・旅館』だ。

ほかにも、人手不足を背景に需要が伸長した『工作機械』や『人材派遣』、都心を中心とした賃貸オフィス需要が好調な『不動産賃貸』などで晴天となっている。

他方、『自動車製造』は、「曇り」へ悪化した。米中貿易摩擦の影響や、EVやコネクティッドカーなどの、次世代自動車を巡る競争激化などが懸念材料となったようだ。

また、スーパーマーケットなどの『流通業』や、ファストフードなど『外食』では、「曇天」や「雨天」となっている。人手不足による人件費負担増が、利益圧迫要因となったようだ。

この結果、2018年度における天気の改善・悪化状況は、「改善」が25分野(前年度比31分野減)、「悪化」が15分野(同8分野増)となった。

2019年度の業界天気図。天気の「改善」は8分野、1999年度以降で最少

2019年度の業界展望では、「晴天」と予想される分野が、86分野(前年度比4分野減)となる。「雨天」と予想される分野が、43分野(増減なし)だ。

消費税増税後の反動減を懸念する『家電』では、「薄日」から「曇り」へ悪化する。

『工作機械』では、米中貿易摩擦の影響が懸念されている。見通しは、「晴れ」から「薄日」への悪化だ。

天気の現状維持を見込んでいるのが、『スーパーマーケット』などの流通業や、ファストフードや居酒屋・ビアホールなど『外食』を含むサービス業。

幅広い業種で天気の現状維持を見込む分野が多いものの、人手不足による人件費負担増や、原燃料費の高騰などによるコスト増加により、利益面で圧迫要因となっているという。

結果、2019年度における天気の改善・悪化状況は、「改善」が8分野(前年度比17分野減)、「悪化」が12分野(同3分野減)となる見込み。「悪化」が「改善」を3年ぶりに上回った。

また、「改善」となる分野は、集計比較が可能な1999年度以降で最少となるもようだ。

<出典元>
「業界天気図」動向調査(2018-19年度見通し)
帝国データバンク

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