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メルカリが、三菱総合研究所(以下、MRI)と、「シェアリングエコノミーに関する共同研究」を実施した。
共同研究では、フリマアプリ上で洋服や化粧品の取引を行うユーザーを対象に、アンケートを実施。フリマアプリ利用前後における、行動心理・購買内容の変化を分析している。
調査期間は、2018年9月21日~27日。フリマアプリ利用頻度が3ヶ月に1回以上で、20代以上の男女を対象に調べている。回収サンプル数は、1,642件だ。
調査結果のサマリーとして、次の4点を挙げている。
- フリマアプリ利用後、新品購入時に将来の「売却」を意識
- フリマアプリ利用後、新品購入頻度が増加
- 将来「売却」できることが新品購入意欲を後押し
- 購入する商品ブランドが高価格帯に遷移
こうしたシェアリングサービス普及後の、従来とは異なる新たな消費モデルを、MRIでは「SAUSE(ソース)」と定義した。
シェアリングサービス普及後の消費モデル「SAUSE」
本調査主幹研究員、MRI 宮川貴光研究員によると「シェアリングはこれまで『過剰消費の是正』あるいは『節約手段』といった文脈で語られることが多い産業だった。しかし、今回の調査結果では、むしろ消費の拡大に繋がるような行動心理も一部では生じていることがわかった」という。
“頻度増加”、”高価格帯の遷移”といった新品購入におけるポジティブな変化。こうしたシェアリングを通じた消費行動は、従来説明されてきたモデルだけでは説明できない特徴だ。
これらをMRIでは、以下3点の消費者行動の変化に着目し「SAUSE」モデルと定義している。
- Searchから始まる消費行動
- モノの「所有」から「一時利用」へのシフト
- モノの貸与・売却後に決まる商品評価
スマートフォンの普及によって、意思決定までのプロセス(認知・興味・関心)がひとまとめになった。リアルタイムで情報収集(検索)に至る行動へと、変化している。
購入した商品を、一時的に利用するものとして捉える心理が働くようになった。消費においても、その心理に影響された行動がみられる。
シェアリングによるモノの貸与・売却を通じ、消費プロセスの最後(手元から商品が離れた時点)に、「利用対価(購入価格から売却価格を差し引いた実質の支払い金額)」という観点で、あらためてモノに対する評価を行うようになった。
なお、SAUSEは、Serch(検索)・Action(行動)・Use(一時利用)・Share(再販売)・Evaluation(評価)を意味する。
同社では、「今後は、企業のマーケティング活動においても、シェアリングを通じて自社商品に接していることを鑑みたブランド戦略や販売戦略が重要となってくる」としている。
フリマアプリ利用後、新品購入時に将来の「売却」を意識
調査では、「新品購入の際、将来売却することを意識するか」たずねている。
新品洋服購入時の場合65%、新品化粧品購入時の場合50%が、「将来売却することを意識する」と回答した。
「あとで売却する」という意識は、新品購入する商品選択において大きく影響を与えていることがわかるという。
フリマアプリ利用後、新品購入頻度が増加
フリマアプリ利用後、36%が洋服の新品購入頻度が変わったと回答している。うち19%は購入頻度が増加、17%は購入頻度が減少したと回答。
化粧品の場合では、28%が新品化粧品の購入頻度が変わったと回答。そのうち14%は購入頻度が増加、14%は購入頻度が減少したと回答している。
新品購入頻度が減少したユーザーと同程度、増加したというユーザーが存在する。従来考えられていた「節約手段」以外の利用目的を持っていることが伺える結果だという。
将来「売却」できることが新品購入意欲を後押し
調査では、「新品購入頻度が増加した理由」についても調べている。
洋服、化粧品両方で上位にランクインするのは「フリマアプリでの売れ行きが良いから」、「フリマアプリで小遣い稼ぎができるようになったから」だ。
同社では、「『あとで売却できる』という心理が働くことで、商品購入に対する心理的ハードルが下がる効果があると推察できる」と分析している。
購入する商品ブランドが高価格帯に遷移
フリマアプリ利用後、52%が「購入する洋服の価格帯が変わった」と回答している。そのうち28%が高価格帯にシフトし、24%が低価格帯にシフトしたと回答。
化粧品の場合では、33%が「購入する化粧品の価格帯が変わった」と回答。うち18%が高価格帯にシフトし、15%が低価格帯にシフトしたと回答した。
20・30代でみると、洋服の場合45%、化粧品の場合36%が、高価格帯にシフトしたと回答している。
この結果については、「売却額を加味することで、商品購入の予算が増え、従来よりも高価格帯の商品を購入する消費傾向が伺える。また、その傾向はシェアリングサービスを日常的に利用していると想定される20代・30代により強く表れている」との分析が示されている。
<出典元>
「メルカリ、三菱総合研究所とシェアリングエコノミーに関する共同研究を実施」
メルカリ