富士通は2019年3月4日、テプコシステムズが開発した東京電力パワーグリッドの電柱保守業務を効率化する新システムにおいて、次世代オンライン認証規格「Fast IDentity Online(以下、FIDO(ファイド)認証)」に準拠した同社の「FUJITSU IoT Solution 生体センサー認証ソリューション オンライン生体認証サービス(以下、「オンライン生体認証サービス」)」が採用されたことを発表した。

東京電力管内の電柱保守業務を効率化する新システムとは

電柱保守業務を行う東京電力パワーグリッドの業務効率化、ひいては地域の安全を確保するために、住民の協力のもと運用を行うシステムをテプコシステムズが開発。

地域住民が電柱の異常を見つけた際に、東京電力のWEBサイト経由で電柱の異常を知らせる写真を投稿し、その画像から東京電力パワーグリッドの作業員は、現場に駆け付ける前に状況を把握できるという。

保守作業員が業務パソコンやスマートフォンからシステムにログインする際の認証に、富士通の「オンライン生体認証サービス」を採用。

短期間で、本人認証の利便性を高めた強固なセキュリティを実現

富士通によると、さまざまなシステムで個人情報や会社の秘密情報などを扱うため、システムごとの複雑なパスワード設定などセキュリティ強化が求められているという。

その一方で、運用によっては利便性が低下するだけでなく、複数サービスでの同じパスワードの使い回しや、パスワードを書き留めたメモの紛失による情報漏えいなど、さらなるリスクを招いてしまう懸念があるとしている。

そのような中で注目されているのが、従来のID・パスワードに代わるセキュリティ強化の手段として生体認証であったが、認証基盤システムの改修にはコスト面のほか、セキュリティ要件の洗い出しやシステム構築期間の確保など、システム導入における多大な工数の発生が課題だった。

東京電力パワーグリッドの新システム導入検討においても同様の課題があったが、FIDO準拠の生体認証を導入する際に必要となるサーバやソフトウェアなどを提供する同社の「オンライン生体認証サービス」の導入と既存の生体認証スマートフォンを活用することで、短期間で新システムの立ち上げを実現したとしている。

オンライン生体認証サービスを採用したシステムの概要

同社は、テプコシステムズが展開する新システムにおいて、FIDO認証に必要となるサーバおよびソフトウェアをクラウド環境で提供するとともに、クライアントアプリ開発支援サービスも提供するとした。

同サービスでは、業務パソコンからログインする際の本人認証が必要なときに、パソコン画面に表示されたQRコードをスマートフォンのアプリケーションで読み込むことで業務パソコンとスマートフォンを紐付け、スマートフォンに格納した生体情報によるFIDO認証でセキュアにアクセスすることができるとのことだ。

また、現場にいる保守作業員もスマートフォンからFIDO認証を通してシステムにアクセスし状況確認することも可能だ。会社支給のスマートフォンを活用できるため、新たに生体認証デバイスを導入する必要がなく、パスワードレスなオンライン認証により、利用者の利便性も向上するとしている。

今後も同社は、「オンライン生体認証サービス」をさらなる利用シーンへ展開し、社会インフラサービスへのFIDO導入の事例を拡大していくことで、さまざまなユーザーの利便性、セキュリティなどの課題解決に貢献する方針を示している。

img:FUJITSU