テラドローンは2019年3月1日、KDDIおよびセコムと共同で、福島県と南相馬市の協力のもと、南相馬市復興工業団地内の「福島ロボットテストフィールド」(福島県南相馬市)で、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムの実証試験を行ったと発表した。
試験の結果、今回開発した「運航管理統合機能」、「運航管理機能」、「情報提供機能」で構成される運航管理システムが、正常に作動することを確認できたという。
将来のドローン時代に向けNEDOと福島県が提携
将来、ドローンが物流や郵便、警備、災害調査、点検、測量、農業などのさまざまな分野で活用されることが期待されている。
高密度でドローンが飛び交う世界を想定すると、衝突などの危険を確実に回避するため、すべての機体の飛行計画と飛行状況を掌握して、ドローンの運航を統合的に管理する必要があるという。
さらに、ドローンを安全に運航するためには、気象情報や地形、建物の3次元地図情報をドローン事業者に提供する必要がある。
このような背景のもと、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機の性能評価基準などの研究開発を進めるとともに、安全に社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施するプロジェクトである「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を進めている。
具体的には、運航管理システムの開発、衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んでいる。
このNEDOのプロジェクトの中の「警備」の実証実験をテラドローンがKDDIとセコムとともに担当しており、今回の試験は、NEDOと福島県が締結したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定に基づく取り組みの一環として実施した。
同一空域における複数のドローンの飛行を支援できることを確認
試験は、南相馬市復興工業団地内の「福島ロボットテストフィールド」(福島県南相馬市)で行われた。試験の内容は、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムの実証試験である。
今回開発した運航管理システムは、同プロジェクトにおいて国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が担当する全体設計に基づいて、次の3つの機能で構成されている。
- 複数事業者のドローンの運航を共有するための「運航管理統合機能」(たとえば、各ドローンの飛行経路や離着陸場の重複の回避など)
- 個別事業者が運航管理システムにアクセスし、サービスを実現するための「運航管理機能」(たとえば、飛行計画の作成や申請、飛行状況の監視など)
- 空域の3次元地図・気象情報などの情報を提供する「情報提供機能」(たとえば、詳細な3次元地図情報やドローンが飛行する高度の風速などの気象情報)
今回の試験では、ドローンを活用した「災害調査」、「警備」、「物流」、「郵便」の4つの利用シーンを想定し、合計10機のドローンを目視外で自律飛行させた。その結果、運航管理システムが正常に作動し、基本的な運航管理機能に基づいて同一空域における複数のドローンの飛行を支援できることを確認できたという。
テラドローンらは、今回の試験結果を評価・検証し、より安全かつ効率的な運航管理を実現するための機能の拡張/高度化を進める方針だ。
また、今回開発した運航管理システムの普及に向けて、現在参画しているドローン事業者以外の国内外のドローン事業者が、運航管理統合機能と接続したドローン運航試験を福島ロボットテストフィールド内で実施できるよう、運航管理システムのAPIを順次公開する予定だとしている。
img:Terra Drone