社会人が再び学ぶ意義。リカレント教育で自己成長に取り組むビジネスパーソンたち:グロービス学び放題

「学生生活が終わっても、学習は続く」これは大学時代、恩師から言われたフレーズだ。この言葉を体現するかのように、キャリアパスやステップアップの一環として社会人になってから大学や大学院に再入学したり、専門学校でスキルアップの勉強をしたりする人がいる。

このように基本的な教育が終了した後、社会人として働くようになってからも学びは欠かせない。ビジネスに必要なスキルや知識の習得を目的とし、教育機関で再度学び直すシステムを「リカレント教育(Recurrent Education)」という。

なお政府は「人生100年時代」に向けた人材開発のひとつとして、何歳になっても自己が求める能力・スキルを身に付けてほしいという考えからリカレント教育を推奨している。

社会人を経てからの学び直しは、知識面だけでなく、自己鍛錬やマインド向上にも作用する。だからこそ、働きながら勉学を通して得られる経験値は自身を高める上で大いに役立つはずだ。

こうしたリカレント教育に励むビジネスパーソンに向けて、ビジネススクールで有名なグロービスの新規事業部門が、2019年1月下旬に開催したワークショップを取材した。

社会人に学びの機会を与えるグロービス

ワークショップの内容を紹介する前に、グロービスの新規事業部門がサービス展開する「グロービス学び放題」について簡単に説明しよう。

グロービス学び放題」は、ビジネスパーソンとして重要な9つのカテゴリーにおいて200以上のコースが動画で見放題となっている学習コンテンツサービスだ。例えば、「戦略・マーケティング」「会計・財務」といった実務に直結する内容をはじめ、「キャリア・志」「思考」などビジネスパーソンとして持っておきたい知識が揃っている。

この動画コンテンツを通して、忙しいビジネスパーソンたちが学習する魅力を株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム プロダクトリーダーの鳥潟 幸志氏に尋ねた。

鳥潟氏(以下、敬称は省略):「ビジネスパーソンたちは日々、様々な仕事に追われながらも、学びの時間を捻出しようとしています。そのような忙しい人たちが隙間時間に見られるように設計されているのがグロービス学び放題の動画の魅力です」

“忙しい合間に勉強をするのはハードルが高い” “まずは手軽な形で学びをはじめたい”と考えるビジネスパーソンに向けて、PCやスマートフォンといったツールから手軽にビジネススキルやノウハウをグロービス学び放題では提供する。

普段オンラインで学ぶユーザーがリアルの勉強会イベントに参加

今回取材したワークショップでは、グロービス学び放題にて講師を務める Tableau Japan株式会社 Enterprise営業部門長 福島隆文氏が、同サービスを利用するビジネスパーソンたちに向けてリアルのセッションを実施した。ここからはそのときの講演内容、その後のグループディスカッションについて紹介する。

本セッションは同氏の動画内容に沿って、参加者からの事前質問を織り交ぜながら進められた。なお、セッションを担当した福島氏は、グロービス学び放題内にて「冷静と情熱の営業」というテーマで自身がこれまでに培ってきた営業ノウハウやスキル、マインドを解説している。

今回の参加者の所属業界はHR、金融、IT、製薬、医療など多様だ。職種も営業、マーケティング、商品開発などバラエティ豊かである。共通点を挙げるとすると、それぞれが仕事への課題意識や向上心を持ち、その気持ちを原動力としてリカレント教育に取り組んでいることだ。

バックグラウンドが異なる参加者に対して、福島氏はグロービス学び放題の学びやビジネスパーソンとしての振る舞いから「戦いを省くための方法」「数字を達成し続ける人間の特徴」など営業プロセスで求められるスキルや醍醐味を参加者が自分ごととして落とし込めるように終始話題を展開していた。

前向きな学びに溢れたビジネスパーソンたちのディスカッション

福島氏のセッション後には、メンバー同士で今回の学びの理解度を深め、教室内でシェアするためのグループディスカッションが開催された。

スタートの合図とともに、参加者たちは各々のメモを片手に持ちながら「講義内容からの学び」「仕事に落とし込んだときに活かせる点や課題」を各グループ内で発表していく。これまで静かだった会場が、一気に活発な議論で満たされた。

「今回の授業で”会社の論理で最良が決まること”を学びました。併せてアカウンティングをはじめ、ビジネス知識は多い方が良いことも実感した次第です。」

「自分は過去、先生がセッションで言及されていた”御用聞き”になっていた時代がありました。相手の経営状況や関連法改正を把握した上で対話することにより、状況を打破した経験があります。」

など、参加者たちはホワイトボードを取り囲むように、意欲的にディスカッションに励む。

中には円滑にチームセッションが進むようにと、率先してファシリテートや議題提案をするメンバーなど、それぞれができることに取り組みながら議論を深めていく様子が感じられた。

議論も終盤に差し掛かると、各チームの代表者が全体に向けてディスカッション内容を発表した。このときには自身のビジネスにおける過去事例を通して様々な視点の解決策を提案するビジネスパーソンが複数おり、次第に福島氏を交えた議論の場へと変化する。

学びに前向きなメンバーが参加していることもあり、否定的な表現はなく、ポジティブな言葉や意見がつねに会場では飛び交う。このような環境も終始活発なディスカッションが営まれた大きな要因のひとつだろう。

このワークショップの参加者に直接感想を聞いた所、

「普段は一人でオンライン学習をしているため、みんなで議論できる場があるのは貴重です。引き続き会社でも積極的に学びを活かしたいと思います。」

「業種や職種は違えど、皆が同じ志を持ってセッションに望んでいるので、福島先生のセッションから最後のワークショップまでやり甲斐を持って楽しく取り組めました。」

というような声をいただき、”仕事に結び付けることを意識しながら学ぶことの楽しさ”という気づきを得られた実感がある。

リカレント教育は「オープンマインド」で有意義に

共通課題を学び・ディスカッションすることは、バックグランドが違うメンバーの知見を得つつ、自身をアップデートすることにつながる。今回のワークショップを取材し、実感したことだ。

最後に参加者へのメッセージとして福島氏は次のように語った。

福島:「世の中は、ますます早く変化をしています。だからこそ学び以外にも、仕事で海外に触るなど、新しいことを前向きに取り入れるオープンマインドのある人になってください。外へどんどん出ること、そして新しいことを開拓する姿勢を持ち続けてください」

社会人になってからも継続した日々の学びや同じ志を持つ仲間たちとの交流は、ビジネスパーソンとしての自己を刺激し、成長をうながす。本取材を通してリカレント教育はスキルアップだけではなく、人生に深みを持たせる機会としても重要であると体感した。

取材・文:杉本愛
撮影:國見泰洋

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