アデコでは、平成元年に新卒で社会に出た人と平成30年に新卒社会人となった現代の若者それぞれ1,000人ずつを対象として、仕事観に関する調査(※)を行った。主な調査結果は以下のとおりだ。
- 今も昔も新卒者が大手企業を好む安定志向や、同じ企業で働き続けたいと考える変化を避ける志向はかわらず
- 会社より自分を優先したいと考える新卒者の傾向は、昔より今の方が強い
- 出世欲・同期に対する競争心は、昔より今の新卒者の方が強い
- 収入が増えるなら勤務時間が長くなってもよいと考える新卒者の傾向は以前より弱まる
- 男性が「主夫」となることに関する現代の若者の賛否、男性は肯定的だが女性は否定的
※調査概要
- 調査対象
日本全国の平成元年に新卒で社会人になった男女および平成30年に新卒で社会人になった男女 - サンプル
平成元年の新卒社会人1,000名(男性:524名、女性:476名、)
平成30年の新卒社会人1,000名(男性:443名、女性:557名) - 調査方法
インターネット調査 - 実施時期
2018年12月15日~27日
新卒者の安定志向は今も昔も変わらず
平成30年、平成元年時の新卒者に対して、新卒入社の際に働きたいと考えるのは「安定した大手企業」「今後伸びそうな新しい企業」のどちらか聞いたところ、いずれも7割近くが安定した大手企業を選択した。アデコは、新卒者が安定を志向する傾向はここ30年で変わらないようだとはなしている。
環境の変化を避けたがる新卒者の傾向も今と昔で変わらず
平成元年・平成30年時の新卒者に対し、新卒入社の際に1つの企業で働き続けたいと考えていたか聞いた。結果「1つの企業で働き続けたい」と答えた割合が平成元年時の新卒者では約7割だったのに対し、平成30年時の新卒者では5割超となった。
同社は、同じ企業でずっと働きたいと考える傾向は弱まったものの、若者が環境の変化を避けたがる傾向は根強く残っているようだと述べている。
就活の際に会社選びで重視したこと。昔は「収入」、今は「ワークライフバランス」
平成元年新卒者と平成30年新卒者それぞれに就活中の会社えらびで重視したことは何か質問した。その結果、やりたい仕事ができることや福利厚生の充実ドを重視する傾向はどちらも同じだった。
一方、平成元年の新卒組では「給与の水準が高い」が2位となったのに対し、平成30年新卒者では給与水準が3位以内に入らず、かわりにワークライフバランスが3位となった。
この結果から同社は、昔より今の新卒者の方が仕事とプライベートの両立をのぞむ意識が高まっているとしている。
新卒者、昔より今の方が仕事より自分を優先したいと考える傾向が強まる
この調査では、対象者に対し仕事の成功とプライベートのどちらを優先するかも聞いた。その結果、平成元年・平成30年時の新卒者のいずれも会社や仕事より自分を優先したいと考える傾向は変わっていなかった。一方で自分を優先したいと考える割合は、平成元年時の新卒者では約6割だったのに対し、現代の新卒者は7.5割とその傾向が強くなっていた。
昔より今の新卒者の方が出世欲が強い
出世に対する希望を聞いたところ、平成元年時の新卒者では「出世したい」と考える割合が約3割だったのに対し、平成30年時の新卒者では5割を超えた。
さらにどの程度まで出世したいと考えるか聞いたところ、平成30年新卒組の方がより高い役職を目指していることがわかった。
この結果について同社では、出世欲が同じようにあっても、昔より現代の若者の方がより貪欲に上のポジションを狙っているようだと述べている。
昔より今の新卒者の方が同期に対する競争心が強い
同期に対する競争心の有無について聞いたところ、平成元年時の新卒者で「同期に負けたくない」と考える割合が4割未満なのに対し、平成30年新卒組では5割を超えた。
同社は出世欲だけでなく同期に対する競争心も、以前と比べ現代の若者の方が強いようだと述べている。
昔と比べ今の新卒者は収入が増えるなら勤務時間が長くて良いと考える傾向が弱まる
収入と勤務時間のどちらを優先するかについての質問では、「収入が多くなるなら勤務時間が長くてもよい」と考える割合は、平成元年・平成30年時いずれの新卒者も過半数を超えた。
一方でその割合をみてみると、「収入が多くなるなら勤務時間が長くてもよい」と考える平成元年時の新卒者が63.8%だったのに対し、平成30年の新卒者では56.6%と少なくなっている。同社では、がかわりワークライフバランスに対する若者の意識も強くなったことがうかがえるとしている。
男性が主夫になることに関する現在の若者の賛否、男性は肯定的、女性は否定的
平成30年新卒者に対して、男性が「主夫」になることについてどう考えるか聞いた。結果、6割を超える男性新卒者が「主夫になっても構わない」と答えたのに対し、女性新卒者の約6割は「配偶者には主夫になってほしくない」と回答。同社は、若者の間では女性の方が「主夫」というかたちに否定的であることが明らかになったとしている。
<参照元>
平成元年と平成30年の新卒社会人各1,000人を対象にした仕事観に関する調査
Adecco