日本財団は2019年1月下旬に「国の借金」をテーマに9回目の「18歳意識調査」を実施し、2019年2月14日にその結果を発表した。

その結果、1,000兆円を超える国の借金の現状を3分の2近くが知らないと答え、財政の将来に7割が不安を感じ、借金を前提とした国の予算に対し賛成は7人に1人だった。

18歳の若者の7割強が「日本の将来に不安」

18歳意識調査とは、このところ成人の定義が20歳から18歳に引き下げられていることを受け、日本財団が、18歳の若者が何を考え、何を思っているのかを継続して調べる2018年10月からスタートした意識調査である。

今回は、まず、現在の日本の財政状態から見て日本の将来に不安を感じるかどうか聞いた。その結果、「感じる」が72.8%にも上った。

「不安を感じる」理由としては、「このままでは経済破綻は免れない」「少子高齢化で年金自体賄うのが大変」など、日本の財政状態や少子高齢化を不安視する声が目立ったという。

また、「不安を感じない」「わからない」の理由としては、「外国に借金をしているわけではない」という理由の他、「なんとかなる」「この先の経済のことはわからない」といった声が目立った。

次に、国と地方自治体の借金を誰が背負うべきかと聞いたと聞いたところ、「国民全体で負うべき」が59.0%と最多だった。

その理由としては、「恩恵を受けているのは国民全体」「誰かが悪いとかではなく日本全体の問題」「一部だけに負担がかかるのはおかしい」「日本に住んでいる以上、責任は国民全体」など、世代を越えた国全体の問題、とする意見が多かったという。

また、「今や国民全体が負担しないと完済出来ない」「全員が払えば1人1人の負担も減り、早く集まる」という意見も見られた。

一方「借金を増やしてきた世代が負うべき」(28.5%)の理由は、「その世代がきちんと責任を負うべき」「なぜ関係ない世代が負うべきなのか」「得をした人達が払ってほしい」などだった。

「その他」の回答としては、「国会議員」や「政府」、「高額納税者」が負うべき、という意見がみられたという。

続いて、借金が1,000兆円を超えていることについて、「知らない」が61.3%を占め、「知っている」は38.8%にすぎなかった。

借金を前提とした国の予算案について3割が「反対」

また、借金を前提とした国の予算案について「賛成」か「反対」か聞いた。その結果、「反対」が29.9%、「賛成」が13.8%だった。

「反対」の理由としては、返済する額の方が国債発行額より少ないことについて「このままでは財政破綻してしまう」「国債が増える一方」という意見が目立ったという。

また、「借金をしてまで公共サービスを過剰にする必要はない」などの意見もあった。

一方、「賛成」の理由としては、借金を前提とした予算編成は良くないと思っているものの、経済が回っていくためには「やむを得ない」「仕方ない」という声が目立ったという。また、「日本の借金は国民に対しての借金で、外国に借金しているギリシャなどとは違う」という回答もあった。

「わからない」(56.4%)では、「初めて知った」など、関心の薄さをうかがわせる回答が目立った。「借金がないと国が回っていかないことは確かなので、どちらがいいのか一概には言えない」という意見もあったという。

そして、どうしてこのような状態になったと思うか聞いたところ、「政治家の努力が足らなかった」が50.9%で最多だった。

この状況を立て直すにはどうしたらいいか聞いたところ、歳出削減が36.5%、歳入増が49.0%だった。「歳出を減らす」の理由としては、「公共サービスが手厚すぎる」「見直しのできる事業があるはず」「税金の無駄遣いをやめるべき」などの意見があった。

「歳入を増やす(増税)」の理由は、「公共サービスは減らすべきではない」「産業発展のためにも企業への増税はどうかと思う」という回答や、外国の高い消費税を例に挙げ、「日本はもう少し増税しても大丈夫」「高い税金で医療、福祉、教育に力を入れてほしい」という意見も見られたという。

また、「歳入を増やす(企業への増税)」の理由としては、個人への増税への反対や歳出削減反対の意見の他、「企業への増税が(自分自身に)1番影響がない」など個人への影響をさける傾向がみられたとしている。

<参照元>
日本財団「18歳意識調査」第9回 テーマ:国の借金について

img:PR TIMES