インテージでは、自社でリリースした「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート 2018年度版」のデータを利用し、独自の切り口によって最新のセルフヘルスケア市場の推計市場規模や市場トレンドを分析。その結果を紹介している。主な分析のポイントは以下のとおりだ。
- 日本における「セルフヘルスケア」市場規模は推定5.7兆円超
- 「ヘルスベネフィット」別に推計市場規模をみると、トップは「健康維持/増進」(2兆円超)。続いて1.5兆円弱の「美肌・肌ケア」、1.4兆円「栄養の補給・栄養バランス」が続く。
- セルフケア市場のトレンドとして健康・美容効果を期待させる一般食品が身近になったこと、スポーツ・運動関連のサービス・商品に注目が集まっていることがあげられる。
日本の「セルフヘルスケア」における市場規模は推定5.7億円超
セルフケアに関する商品やサービスは、メジャーなものに限ってみても、健康食品やサプリメント、OTC医薬品(処方箋なしで店頭で手に入る一般医薬品)、健康系の機能を訴求した食品・飲料、フィットネス、マッサージ、エステなどさまざまあげられる。
生活者への調査にもとづき、これら商品・サービスを含めた日本のセルフヘルスケア市場規模をインテージが推計したところ、5兆7,351億円という規模に及ぶことが判明したとのことだ。
“ヘルスベネフィット”別にみた推定市場規模のトップは「健康維持/増進」(2超円超)
インテージは、セルフヘルスケア関連の商品・サービスが、多様な効果・効能・成分・素材・技術などを売りとしており類似商品・サービスがカテゴリーをまたいで存在しているものの、売り手目線でカテゴリー化していることで、市場の全体像をとられることが難しくなっているとしている。
そこで同社では、ヘルスベネフィット別に市場を分類しその市場規模を推計。これによって、商品・サービスのカテゴリーに縛られず、生活者ニーズにフィットした市場の俯瞰ができるという。
その結果、セルフヘルスケア市場のなかでも、「健康維持/増進」関連の市場が2兆円兆と最も大きく、「美肌・肌ケア」(1.5兆円弱)、「栄養の補給・栄養バランス」(1.4兆円)市場が続いた。同社の分析によると、セルフヘルスケア市場のなかでもこの3つのニーズが特に高くなっているということだ。
トレンド1:健康・美容効果を期待させる一般食品が身近に
インテージによればセルフヘルスケア市場では一過性のさまざまなブームがあるもの、直近では2つの大きなトレンドがみられるという。
1つ目は、健康・美容効を期待させる一般食品や飲料が、生活者のより身近な存在になったことだと分析している。
2015年4月に開始された消費者庁の「機能性表示食品制度」がきっかけとなり、生活者が日常的に利用するコンビニ・スーパーなどの店頭へ、関連する一般商品・飲料が並ぶようになった。2018年末の段階では、加工食品・生鮮食品など800以上の商品がそれぞれ機能を訴求しており、現在も新しい商品が次々と登場しているとのこと。
「健康食品・サプリメント」と「健康・美容目的で摂る一般食品・飲料」を合計したヘルスケアフーズの推計市場規模の動きをみると、ヘルスケアフーズ全体の市場規模(2兆6,735億円)自体は昨年と比べ大差はない。
しかし内訳をみると、従来ヘルスケアフーズ市場をけん引してきた「健康食品・サプリメント」が前年と比べマイナス271億円(1.7%減)だったところ、「健康・美容目的で摂る一般食品・飲料」はプラス150億円(1.3%増)を記録している。
同社によれば、機能性表示食品市場の活性化が、一般食品・飲料市場の伸びの要因のひとつとなっているとのことだ。
トレンド2:スポーツ・運動関連のサービス・商品に注目が集まる
インテージによればもう1つのトレンドは、2020年に東京オリンピックが開催されることを背景として、スポーツ・運動全般のサービス・商品が注目され市場が活性していることだという。
従来からスポーツ・運動は、生活者のセルフヘルスケア活動において大きな選択肢の1つだった。「健康維持/体力増進」のセルフヘルスケア市場に注目すると「一般食品(生鮮含)・飲料」(9,941億円)が最も大きな市場となっているが、「スポーツ用品・サービス(ジム・フィットネスなどを含む)」の市場規模は5,001億円で、2番目に大きな市場となっている。
「食」と「身体を動かすこと」は結びつきが強いが、インテージによれば近年ではその傾向が強くなっているとのこと。その理由として健康意識が高い生活者が通うフィットネスジムなどでヘルスケアフーズのクロス販売が増えていることや、その販売に健康データを活用した新たなヘルスケアサービス・技術が次々と生まれていることをあげている。
そして先進的な事例として、近年著しく一般化した遺伝子検査キットの解析データに基づき、1人1人にあった運動メニュー・食事メニューを提案し、さらに関連した商品・サービスの推奨・販売につなげるサービスがあるとのことだ。
性別ごとにみると、全体がスポーツや運動で、女性は食品で健康維持・体力増進を図る傾向にあると、同社は分析している。
また健康維持・体力増進のための活動をしている人のうち、「スポーツ・運動用品」で対処している人の割合を年代別でみると、性別にかかわらず、50代をボトムとして60~70代にかけ増えている。特に女性では、70代においてスポーツ・運動による対処を行っている人の割合が高くなっている。
この点について同社では、国による高齢者への総合的なセルフケア推進を背景として、カーブスをはじめとしてシニア女性を意識したフィットネスなどが身近になっていることが1つの要因と推測している。
<参照元>
『健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2018年度版』 発行
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