テレワークや遠隔教育などに利用される遠隔操作型のロボット「OriHime」を開発・提供しているオリィ研究所は2019年2月1日、すでに全国で利用されている20cmのテレワーク分身ロボット「OriHime」、ならびに2018年に発表した120cmの研究機「OriHime-D」を用いた外出困難者の新たな社会参加、働き方を模索するため、テストパイロットを追加で10名前後募集すると発表した。

仲間が本当にいるようなコミュニケーションがとれるロボット

オリィ研究所のOriHimeを利用したテレワーク向けサービスは、全身20cmのOriHimeは簡単なジェスチャーにより現場に指示を出したり、オフィスの仲間らとの”まるで本当にいるような”コミュニケーションがとれることが特徴だ。

しかし、その一方で移動はできず身長も小さいため、接客や受付などはできる仕事の種類に制限があったという。

そこで、オリィ研究所は昨年新たな研究用モデルとして、移動が可能な全長約120cmの新型の分身ロボット「OriHime -D」を開発した。

この研究用モデルを用いて、従来のテレワークでは実現できていなかった肉体労働、接客業への参加の可能性を探るため共同での事業開発・研究などが可能な企業・研究機関を募集したところ、いくつかの企業、大学から協力の声があがったという。

また、2018年11月~12月にかけて日本財団ビルで開催した「分身ロボットカフェ”DAWN ver.β”」のプロジェクトでは、全国の肢体不自由で外出困難なパイロット10名を選出し、「OriHime」ならびに「OriHime-D」を操作し、店内を走り回りオーダーをとってドリンクをテーブルに運び、店員と会話する接客実験を行った。

10日間で778名を接客し、有効回答数709名分のアンケート調査などでのデータ収集を行った他、現地でOriHime-Dを毎日機能拡張させ、カフェ運営の改良を進めたという。

また、ほとんど眼しか動かせず話すことができないALSの患者も、オリィ研究所が開発している視線入力PC「OriHime-eye」との組み合わせでOriHime-Dの操作を実現し、あらかじめ用意されたセリフを選択してカフェ接客することに成功したという。

同社では、外出困難者がOriHimeで働くカフェのプロジェクトについて2020年に常設店を目指しているほか、いくつかの企業とともにOriHime,OriHime-Dを使った接客や受付、通訳や遠隔アシスタントなどのテレワーク実験を複数実施しているという。

そこで、新たに働きたい意志や能力があるがさまざまな理由により外出が困難なテストパイロットを10名前後募集し、「OriHime」、「OriHime-D」を遠隔操作しての接客やオフィス出社などさまざまな就労ケースでの実験を行う考えだ。

img:PR TIMES