Wi-Fiの接続停止による事業損失は過去1年間で合計5,100万ドル。接続速度の遅さも大きな課題に

ARRISグループ会社の米ラッカスネットワークスは2019年1月29日、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)のビジネスにおけるWi-Fi接続の実態調査を発表した。

実施した調査は、企業におけるWi-Fiの価値・利用時間・Wi-Fiをめぐる課題や期待をテーマにしたもの。APACを構成する8つの国、中国、香港、台湾、オーストラリア、日本、インド、シンガポール、インドネシアにおいて従業員250人以上の大・中規模の企業の、ITに関する意思決定、またはIT関連業務に携わる従業員1,200人を対象に行った。

今回の調査結果から、デジタル経済において、Wi-Fiの接続停止による事業損失は、過去1年間で合計5,100万ドルにも上っていることが明らかとなったという。

Wi-Fiの接続停止は企業の業績に大きな影響をもたらす

その結果、Wi-Fiの接続停止は、調査対象企業の業績にも大きな影響を与えていることがわかったという。過去1年間で、47%と半数近くのAPAC企業が少なくとも6回の接続停止を経験し、そのうち約10%の企業が20回を超える接続停止を経験した。

一方、日本企業で過去1年間に6回以上の接続停止を経験したのはわずか30%だったという。

さらに、Wi-Fiの接続停止やその他のネットワークにおける課題による生産性の低下に加えて、企業はデジタル革新や組織変革を成し遂げることができない状態だという。

また、APAC企業の37%、日本企業の43%のIT部門は、Wi-Fiやネットワーク関連の課題対応に毎月1週間以上を費やしているという。

このため、IT部門は時間とリソースを失い、企業における新たなデジタル製品やサービス、収益モデルを推進するための取り組みの妨げとなっていると分析している。

さらに、APACの事業/IT責任者の10人中9人(90%)と日本の事業/IT責任者の84%は、質の低いWi-Fiが企業の評判に悪影響を与えるとの考えで一致しているという。

これは、Wi-Fiが企業と顧客との間においてもっとも重要な最初の接点であるためだとしている。

もう1つの課題はストリーミングビデオなどの接続に必要な「帯域幅」

Wi-Fi接続にとってのもう1つの課題は、ストリーミングビデオや複数のパーソナルデバイスなどの接続に必要な「帯域幅」だという。

調査によると、APACの事業/IT責任者の58%と半数以上、日本の事業/IT責任者の45%がWi-Fiを使ってストリーミングビデオや音声通話を利用している。

昨今のWi-Fiのユーザーエクスペリエンスにおいて、マルチメディアコンテンツとネットに接続されたデバイスが急増が、高速で信頼性の高いネットワークを必要とする主な要因となっているとみている。

そして、APACの49%、日本の44%の回答者が、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、スマートウォッチなど、少なくとも4つのWi-Fi対応デバイスを活用していると回答している。

この調査結果について、APAC(76%)と日本(71%)の事業やITの責任者は、Wi-Fi接続速度の遅さがもっとも重要な懸念事項と考えており、続いて接続可能エリアの狭さと接続が途切れることも心配である、と述べているという。

しかし、公共Wi-Fiを快適に利用出来たと回答したのはAPACの4人に1人(24%)、日本ではわずか16%のみであり、大幅に改善すべき余地がある。

APACと日本のユーザーで常に公共Wi-Fiを利用しているのは、わずか14%にすぎないという結果になった。

同社では、APACのビジネスマンたちが、場所にとらわれない働き方をしているからと謳うには、大きな改善が必要なことを浮き彫りにしたとみている。

また、自社のWi-Fiセキュリティの現状を「良い」「非常に良い」と好評価しているのは、APACで53%、日本ではわずか37%だった。さらに、自社のWi-Fiセキュリティの現状に満足しているAPACの93%と対照的に、日本ではわずか79%だった。

同社では、今回の調査で、APACの中で日本のWi-Fiセキュリティとパフォーマンスが最も優れていることが明らかになったとしている。

APACのほぼ5人に1人(19%)が、安全なログイン方法のないオープンWi-Fiネットワークを保持していると回答したのに対し、日本のオープンネットワークへの依存度は9%ともっとも低いことが示されたという。

さらに、過去1カ月間の6~20回の接続停止の発生割合は、日本ではわずか25%で、一方のAPACは38%でした。日本の回答者の5人に1人(19%)は今までまったく問題がなかったと回答しており、APACの6%を約3倍も上回っている。

同社では、今回の調査結果は、Wi-Fiのセキュリティとパフォーマンスに対して、日本企業の経営陣の期待がAPACよりも高いことを示していると結論している。

<参照元>
「ラッカス、日本を含むアジア太平洋地域初のビジネスWi-Fi 実態調査を発表」
RUCKUS

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