INDEX
エン・ジャパンは、同社が運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している転職コンサルタント103名を対象に「経営者の採用」についてアンケートを行ない、2019年1月25日のその結果を発表した。
それによると、「経営者求人は増加している」と回答した転職コンサルタントは3割で、採用数が増加傾向にある企業タイプは「ベンチャー」「中堅・中小」、業種は「IT」「メーカー」だった。
経営者の求人は約3割が「増えている」と回答
転職コンサルタントに「経営者(社長、CxO、取締役など)の求人は増えていますか?」との問いには、29%が「増えている」と回答した。これは「減っている」の8%を大きく上回った。
経営者の採用が多い企業の特徴を問うと、企業タイプは「ベンチャー企業」が53%、次いで「中堅・中小企業」が47%だった。
「ベンチャーは企業の成長が早く内部の人材では対応できないから」、「中小企業では、社長候補者のブレーンや後継者を求めている」という声が寄せられたという。
業種は「IT・インターネット」が47%、「メーカー」が46%だった。「IT業界では、スタートアップや新サービス展開が多い」、「老舗中小のメーカーには、後継者探しが課題の企業が多い」という声が挙がったという。
経営者候補で特に需要が高い年齢層は「40代後半」
次に、経営者候補の中で、特に需要が高い人材の特徴を聞いた。年齢層は「40代後半(45才~49才)」が60%だった。「一定の経験が必要なことに加え、年齢50歳を超えると定年までの期間が短いため、40代を希望される求人が多い」、「30代から候補者としてOKという要件もあるが、実際に実績とスキル、人物面が揃って充実しているのは40代であることが多いので」などが理由だった。
現年収帯でみると、「1000~1199万円」が44%、「800~999万円」が41%だった。
また、経営者求人の募集背景を聞くと、もっとも多かったのは「新規事業や規拠点立ち上げなどによる新ポジション募集」の67%だった。
経営者に企業が求めるものは「将来ビジョンを掲げられる資質」
経営者の採用時に企業が求めるものを聞くと、「将来ビジョンを掲げられる資質」が61%と最多だった。「経営には具体的なビジョンがないと難しい」、「部下を巻き込んで、ビジョンを現実にしていく実行力が求められる」という声が挙がったという。次いで「人間的な魅力」が55%だった。
「中途入社をしても、既存の社員がついていきたいと思うような人物であることが大事」、「人間的魅力がなければ、コミュニケーションを含めた企業内モチベーション向上につながらない」という声が寄せられたという。
経営者求人は56%が「今後も増えていく」と回答
経営者求人の今後の動向を聞くと、56%が「今後も増えていく」と回答した。
理由を聞くと、「経済のトレンド推移の速さに伴い、今後さらに組織のスクラップ・アンド・ビルドが進むと感じる」、「ミッションが複雑化し、経営者でも特定のスキルを持っている方がいろいろな企業で力を発揮するようになる。その結果、経営者の就業が流動化していくと思われる」という声が寄せられたという。
「社外取締役」「監査役」の求人も増加
また、法制審議会は、会社法改正の要綱案をまとめ「上場企業や非上場の大会社に社外取締役の設置を義務付ける」と発表した。通常国会で改正案を提出し、2020年の施行を目指している。これについて、「社外取締役」「監査役」の求人について聞いたところ、18%が「増えている」と回答した。
増加の要因としては「ガバナンスを意識する会社が増えた」、「事業スピードの加速により、社外からノウハウを取り入れたい企業が増えている」、「IPO予備軍の企業の増加」といった理由が挙げられたという。
最後に、「社外取締役」「監査役」の採用を行なうことが多い企業タイプを聞くと、もっとも多かったのは「ベンチャー企業」の42%だった。「第三者の意見を聞く柔軟な意識がある」、「若い経営者が多く、経営の知見が不足しているため」などのコメントが寄せられた。
この他、「日系企業」が25%、「中堅・中小企業」が23%と続いた。
img:@Press