通信教育大手のユーキャンは、進化を続けるAI・ロボットによる「仕事の代替え」が話題になっている現状をふまえ、10年後のAI・ロボット時代に対するビジネスパーソンの意識調査(※)を実施。その結果を発表した。

主な調査結果は以下のとおりとなった。

  • 10年後にAI・ロボットに代替えされると推測する仕事(業務)は全体の33.2%
  • AI・ロボットによる仕事代替えを「期待している」(51.0%)、「不安を感じる」(30.7%)
  • AI・ロボットに対する知識のない人の方が、それらによる仕事代替に不安を感じる傾向
  • AI・ロボット時代に身に着けておきたいスキルは「専門資格(知識・技術)」「実行力」「論理的思考力」「課題を見つける洞察力」など

※調査概要
調査名 :AIやロボットによる仕事代替の影響と備えておきたいスキルに関する意識調査
調査対象:20代~40代のビジネスパーソン 310名(男性159名、女性151名)
実施期間:2018年11月5日~9日
実施方法:インターネット調査
対象地域:全国

今ある業務(仕事)のうち33.2%がAIやロボットに代替えされると推測

調査対象者に、現在世のなかにある業務(仕事)のうちどのくらいがAI・ロボットなどのテクノロジーで代替えされると思うか聞いたところ、「21%~30%」と答えた割合が全体の22.9%で最も多かった。全体の平均は33.2%で、約1/3の業務(仕事)はAI・ロボットに代替されると考えられていることがわかった。

今回の調査では、10年後に自分自身の業務(仕事)がAI・ロボットによって代替されていると思うか、という質問も対象者にしている。その結果、「代替されない」(40.0%)・「代替される」(36.8%)と回答した割合が拮抗した。

「代替される」と回答した114名に対して、業務(仕事)のうちどれくらいの割合がAI・ロボットに代替されると思うか聞いたところ、1位「21~30%」(18.4%)、2位「31~40%」「41~50%」(いずれも14.0%)、4位「11~20%」(11.4%)と結果にばらつきがみられた。

AIやロボットに仕事が代替されることに対し「期待」が「不安」を上回る

AI・ロボットによって仕事が代替される気持ちを聞いたところ、「とても期待している」(11.3%)、「期待している」(39.7%)と肯定的な声が半分以上(51.0%)という結果になった。

「不安を感じている」(25.5%)、「とても不安である」(5.2%)と否定的にとらえる回答は全体の30.7%にとどまり、肯定的に考えているビジネスパーソンの方が多い結果に。

次に、AI・ロボットによる仕事代替に対して期待や不安を感じる理由を聞いた。

「期待する」と答えた理由として多かったのは、「人間がすべき仕事に集中できる」(38.0%)や「仕事の量が減ったり、残業が減る(ワークライフバランスの充実)」(28.5%)という回答が多かった。

この結果を受け同社では、AIやロボットで代替できる仕事は機械にまかせることにより、人間はより高次元・クリエイティブなことに集中できると考えるビジネスパーソンが多いようだと見解を示している。

「不安を感じる」と回答した理由については、「人間の仕事が奪われ失業者が増える」(40.0%)との回答が最も多く、「自身の仕事がなくなる恐れがある」(36.8%)、「必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではない(最終的なクオリティは人の判断が不可欠)」(26.3%)といった回答がそれに続いた。

AIやロボットの知識がある人の方が、AI・ロボットの仕事代替に対する不安が少ない

AI・ロボットについてどのくらい知っているか、という質問については、「知っている」(45.5%)、「知らない」(54.5)と答えたビジネスパーソンがほぼ半数ずつと拮抗した。

また「知っている」と答えたビジネスパーソンのうち、AI・ロボットによる仕事代替を期待している人は65.2%、不安と思っている人は23.4%だった。

対して「知らない」と回答したビジネスパーソンのうち、AI・ロボットによる仕事代替えに期待している人は39.1%、不安と思っている人は36.7%という結果に。

この結果から同社は、AI・ロボットに関する知識があるビジネスパーソンの方が、AI・ロボットの能力と自分の仕事に必要なスキル・資質などを俯瞰でみることができ、不安に感じる人が少ないのかもしれないと見解を示している。

次にAI・ロボットに代替されないスキルを持っているかという質問では、AI・ロボットについて「知っている」と答えたビジネスパーソンのうち、「持っている」と回答した割合は全体の57.4%で、「持ってない」(22.7%)と回答した割合を大きく上回った。

「知らない」と回答したビジネスパーソンに同様の質問をしたところ、「知っている」と答えたビジネスパーソンとは逆に、「持っていない」(43.8%)が「持っている」(23.1%)を大きく上回る結果に。

同社は、AI・ロボットについての知識がないビジネスパーソンほど、自身の仕事・スキルがAI・ロボットに代替されてしまうという漠然とした不安を感じているのかもしれないと述べている。

AI・ロボット時代に身に着けておきたいスキルの1位は専門資格(28.1%)

AI・ロボットが今より発展しているであろう10年後の未来にむけ、身に着けておきたいスキルがあるか聞いたところ、トップは「専門資格(専門知識・技術)」(28.1%)で、「実行力」(24.2%)、「論理的思考力」(23.9%)、「課題を見つける洞察力」(23.2%)が続いた。

人とコミュニケーションをとり仕事を推進するスキルといえる「上司・同僚・顧客と協力しながら仕事を進めていく力」については18.1%にとどまった。

10年後、AI・ロボットに代替されることのない資格は「保育士」「介護福祉士」「メンタルヘルス・マネジメント(R)」

10年後にAIやロボットに奪われない資格には何があると思うか聞いたところ、トップは「保育士」(28.4%)で、「介護福祉士」(20.6%)、「メンタルヘルス・マネジメント(R)」(18.7%)が続いた。

同社では、AI・ロボットでは満たすことができないであろう、気配り・心のケアといった人ならではの細やかな心遣いを必要とする資格に表が集まった、とコメントしている。

img:ユーキャン