矢野経済研究所は、国内の民間企業に対して法人アンケート調査を実施し、AI(機械学習やディープラーニング、自然言語処理、画像認識、機械翻訳、ロボット、チャットボット、RPAなど)の導入状況や業種別の動向について発表した。

その結果、AIを「すでに導入している」と回答した比率は全体で2.9%(※)となった。
(※)国内民間企業 515社に対しての割合

業種別AI技術の導入状況

同調査によると、「実証実験(PoC)を行っている」という回答は5.8%で、導入済と合計しても8.7%である。但し、AIへの関心は高く、「今後も取り組む予定はない」という回答は15.0%に留まったと発表。

また、AIの導入率を業種別に見ると、金融業が12.5%と最も高く、プロセス製造業が3.9%、加工組立製造業3.7%、サービス業2.1%と続き、流通業が最も低く0.8%となった。製造業は全体よりやや高い傾向であることがわかる。

結果として、流通業はITの活用に慎重な企業が多くIT人材も少ないという実態があり、業種別でAI導入率が最も低い結果となったと同社は見解を示している。

同社は少子高齢化による労働力不足が深刻化しており、店舗スタッフの雇用難、ベテランスタッフの高齢化や退職増などへの対策の喫緊が流通業の課題となっていると考察。

今後はこれらの課題解決に向けて、決済や販売、需要予測等を支援するAIを搭載したソリューションが提供されてゆき、省力化や業務自動化の効果は大きいと期待が持てるとのことだ。

但し、一方で流通業でのAIの活用は大手企業に集中しているため、中小企業への普及が進むには、AIソリューションの低価格化や導入効果の明確な検証が求められると見解を示している。

img:矢野経済研究所