大学などの高等教育機関がインターネットを利用し、講座をオンライン公開する取り組み「Massive Open Online Courses(以下MOOC)」は、2012年にアメリカで始まってから、今では世界中の学習者は8,100万人以上といわれている。
国内ではスタートから4年半が経過した現在、MOOCの受講者は約91万人(2018年10月時点)にとどまっているが、Edtech(教育×テクノロジー)の進展により、学習場所や時間にとらわれずスマホ・タブレットなどを活用し手軽に受講する利用者が増えている。
そんななか、NTTコムと、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(以下、JMOOC)は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」会員モニターを対象に、「大学のオープン化に関する調査(※)」を実施。その結果を発表した。
主な調査結果は、以下になる。
- 学生時代に専攻した科目の「学び直し」経験者は40.5%で、昨年比で18.2%増える
- 学び直しの主な理由について、自己研鑽と答える人が増え、自主的に学び続ける意識を持つ層が増えたことがうかがえる
(※)調査概要
- 調査対象
「NTTコム リサーチ」登録モニター - 調査方法
非公開型インターネットアンケート - 調査
大学のオープン化に関する調査 - 調査期間
平成30年8月22日(水)~平成30年9月25日(火) - 有効回答者数
1,180名
MOOC学習は、出先ではスマホ、自宅ではパソコンを利用する傾向
調査結果をみると、MOOC学習者は、出先ではスマートフォンやタブレットなどを使ったモバイル学習を、自宅ではパソコンを主に利用した学習スタイルが確立されている。学習場所は職場や学校、学習時間は通勤・通学が多くなっている。
NTTコムオンラインはその理由として、MOOCが1本5〜10分程度の動画講座で構成されており、移動中などの隙間学習にむいていること、課題に関してはパソコンでじっくり補えるため、学習教材として両面性を持っていることをあげている。
MOOC学習で人気がある分野は男性1位「経済学&金融」、女性1位は5年連続「心理学」
MOOC学習で人気の高かった分野は、「心理学」「歴史」「経済学&金融」と続いて、教育系・実務系科目に満遍なく分散。多様なニーズがあることが示された。
調査対象者がランダムであるにも関わらず、上位9分野に関しては5ヵ年連続で同様の科目がランクインしていることから、NTTコムオンラインは、普遍的に現代の日本人に需要の高い学習分野であるとの見解を示している。
男女別でみると、男性1位は「経済学&金融」で、昨年まで4年連続1位だった「歴史」が4位へ順位を下げた。2位には「コンピュータサイエンス」、3位には「情報、テクノロジー&デザイン」がはいり、NTTコムオンラインでは「実務系の学習分野が上位3位をしめたのは本年度の大きな特徴」とかたっている。
一方、女性の1位は5年連続で「心理学」。NTTコムオンラインは、男性は「ビジネス・実学系」への関心が例年以上に高まり、女性は例年と同様に「生活密着系」の分野で関心が高い結果となったと総評した。
仕事上の必要性だけでなく、自己研鑽のための「学び直し」を求める人が増える
学生時代に先行した科目を勉強しなおすいわゆる「学び直し」の経験者は40.5%、未経験者は59.5%で学び直しの実態は半数に満たない結果だった。しかしながら昨年比でみると、学び直し経験者は18.2%増加しており、ニーズが飛躍的に高まっていることがうかがえる。
調査では経験者に学び直しを行った理由も聞いた。結果、昨年度は「職業上、復習が必要」「職業上、専攻科目知識では不充分」のように仕事上の必要性による学び直しが多かったのに対して、今回は「仕事では必要なかったが自己研鑽のため」「将来のキャリアアップのためには必要だと感じたから」のように、自己研鑽型がポイントを伸ばした。
理工系出身者を対象とした学び直しの実態に関する調査では、学び直し経験者の学習分野は、プログラミングや統計学を含む情報系分野が22.9%と圧倒的に多い結果となった。
img:PR TIMES