2018年12月20日、セコムは、「日本人の不安に関する意識調査」の結果を公表した。

高齢化や核家族化、ネット環境や情報機器の発達、地震や豪雨などの自然災害の多発、テロや凶悪犯罪など、社会のあり方や世相が変化している。

そうしたなか、本調査は、現代社会における不安を引き起こす要素と、その対策についての実態を調査するために、2012年より毎年実施されている。

調査期間は、2018年12月3日~5日。20代以上の男女500名を対象に、インターネットによるアンケート回答方式で行われた。

主なトピックは以下のとおり。

  • 2012年より7年連続で7割以上が「最近不安を感じている」と回答
  • 不安を感じる項目は、1位「老後の生活や年金」、2位「健康」。今後の災害増加を懸念する人も9割近く存在
  • 災害対策については3割以上の人が実施。6割近くが対策を実施していない
  • 「女性の『安全・安心』に関する意識調査」では、ネットやSNSのトラブルが、「痴漢」次いで実際の被害が多い

男性30代と女性20代が、より不安を感じている

調査ではまず、「最近、何かに不安を感じていることはあるか」と質問している。「感じている(28.4%)」、「どちらかといえば感じている(44%)」と、72.4%が回答した。

2012年に調査開始して以来、7年連続で7割以上が「最近不安を感じている」と回答する結果となった。

性年代別で見てみると、男性30代(80%)と女性20代(84%)が、より不安を感じている人が多い。

エリア別では東日本(69.2%)より西日本(75.6%)の方が、不安に感じている人が多くなっている。

自然災害への不安が増加

「最近不安を感じていることは何か」という問いに対しては、1位が「老後の生活や年金(71.8%)」となった。2位「健康(67.4%)」、3位「地震(50.6%)」と続く。

今回の調査では、2人に1人以上が「地震」を不安に感じている。また、「台風・豪雨・洪水(34%)」「環境問題・異常気象(23.2%)」といった自然災害に関する項目を、不安要素として挙げる回答の増加が目立った。

20代の4割超が、不安解消へ対策を行う

「不安を解消するために、何か対策をしているか」については、全体の約7割が対策をしていないと回答した。

一方、年代別では男女ともに20代の4割超が何らかの対策を行っている。若い世代における、不安要素への対策意識の高まりが読み取れる。

災害への懸念は、東日本より西日本で高い

調査では、「今後、治安悪化や犯罪増加の可能性があると思うか」という質問している。「そのように思う(20%)」、「どちらかといえばそのように思う(61.4%)」と、全体で81.4%が、治安悪化や犯罪増加を懸念していることがわかった。

なかでも女性の40代では、96%もの人が懸念していると回答している。

また、「今後の災害増加や被害の拡大の可能性があると思うか」という質問に対しては、「そのように思う(25%)」、「どちらかといえばそのように思う(62.4%)」と、全体で87.4%が災害増加に不安を持っていることが判明した。

性年代別でみてみると、女性は30代および50代(各88%)以外の世代で9割を超えている。相対的に男性全体(84%)に比べて女性(90.8%)の方が災害増加や被害拡大に対して懸念していることがわかった。

また、エリア別では東日本(84.8%)より西日本(90%)の方が災害を懸念している。

防犯意識が高いのは、男性20代

「防犯対策の有無」を聞くと、70.8%が「防犯対策をしていない」と回答。今後の治安の悪化、犯罪増加の可能性を踏まえて、防犯対策を行っている人は昨年から微増している。

一方、性年代別では、若い男性の防犯意識が高い。男性20代は全世代で唯一、4割以上(42%)が防犯対策を講じていることが判明している。

エリア別では、西日本(75.2%)が東日本(66.4%)より、10ポイント近く高い割合で防犯対策を実施していないことがわかった。

「防災対策の有無」については、約6割が対策をしていないことが明らかになった。一方、36.2%が「防災対策をしている」と回答。調査を開始した2012年以降で最も高い数字となっている。

エリア別で見てみると、実際の対策の有無では、東日本(38.8%)が西日本(33.6%)より高い。災害増加に対する懸念は西日本の方が多かったのと、逆の結果となった。

「老後への不安」は過去最高値

「老後への不安の有無」についての質問には、「感じる、または感じた(39.2%)」、「どちらかといえば感じる、または感じた(43.6%)」と、全体で82.8%が「老後に不安を感じている」と回答。過去最高値をマークした。

2014年の調査開始以来、5年連続で老後に不安を感じている人が8割を超える結果となった。

調査を行ったセコムでは、「超高齢社会を迎え、多くの人々が老後への不安を抱いているようだ」と分析している。

なお、老後について不安を感じている内容については、「経済的な負担に関する不安」および「病気やケガなどの健康不安」が5年連続でそれぞれ1位、2位となった。

過去1年で不安を感じた事件・事故は、自然災害や異常気象に関連

調査では、「最近1年間で不安を感じた事件・事故」についてたずねている。1位は、「台風や暴風・豪雨・ゲリラ豪雨などによる土砂災害(40.6%)」だった。続いて、2位「地震・津波による被害(39%)」、3位「猛暑による熱中症や日射病(30.4%)」となった。

最近1年間では、自然災害や異常気象に由来することに不安を感じる人が多くいることが判明した。

<出典元>
第7回『日本人の不安に関する意識調査』第2回『女性の「安全・安心」に関する調査』調査項目・調査結果 データ集
セコム株式会社