2018年12月18日、インテージは、消費税増税に関する意識調査の結果を公開した。
調査期間は、2018 年11月22日~26日。全国20~69歳の男女2,122名から回答を得ている。
結果のポイントは以下のとおり。
- 軽減税率を知っている人は9割近く。「内容まで理解」と答えた人は3人に1人
- 制度が基本適用される飲食料品の税率については、8%と10%で認識が分かれる
- 制度に対して賛成、反対がそれぞれ3割、どちらともいえないが4割と賛否両論
- 駆け込み需要は高額品目中心に検討。増税後は8割の人が支出をしぼる意向
軽減税率を知っている人は9割近く。「内容まで理解」と答えた人は3人に1人
軽減税率の認知度について調べると、全体では88.4%と、多くの人が知っていると回答した。
「内容についてまで理解している」と回答したのは36.2%と数字が減る。
女性より男性が、そして年齢が上がるほどに、「内容を理解している」と回答する率が増える傾向がみられた。
調査を行ったインテージでは、「日々の買い物で課税されるという、生活に直結する税金の軽減制度のため、多くの人が存在は認識していた。生活必需品である食料品の税率が低くなるという程度のことは分かっていても、細かいことについては周知が進んでいない現状がうかがえる」とコメントしている。
飲食料品の税率について認識が分かれる
調査では、個別に各品目の税率について聞いている。
不動産や自動車、家具・家電や外食など、軽減税率が適用されないものに対しては、正答率が6~7割と高めだった。
「コンビニ内にあるイートインスペースでの飲食」や、「外食チェーン店での持ち帰り」といったシチュエーションでの正答率も、5割台と高めとなっている。
逆に、回答が大きく分かれたのが、基本的には軽減税率が適用されるもの。主食の米では、43.1%の人が適用、28.4%の人が適用外、25.1%の人が分からないと回答するなど、認識が分かれてる結果となった。
制度への印象は賛否両論
「軽減税率を知っている」と答えた人に、印象を聞いたところ、意見は3分化した。肯定的、否定的な意見がそれぞれほぼ3割、どちらともいえないと答えた人が4割となっている。
調査を行ったインテージによると、肯定的な人からは低所得者への配慮が必要という声がある一方、否定派からは軽減されるのが購入額の2%分と小さいことや、小売店などでの現場の混乱を懸念する声があったという。
“駆け込み需要”は、高額品目、使用頻度が高い品目が中心
増税に備えて、消費者の購買意欲が高かったのは、住居や車、家電などの高額品目だった。
特に単価の高い「一戸建住宅、分譲マンション」は、1年以内購入検討者の77.8%と、8割近くの人が増税前に買うことを視野に入れている。
これについて同社は、「不動産は消費税が少しでも上がると、数十万から数百万円単位で費用が増加する可能性があるだけにお得感も高く、来年の秋に向けて購買意欲も旺盛になりそうだ。ただ不動産や自動車については、今回の消費増税に合わせて、住宅ローン減税の延長や自動車税の引き下げが議論されているだけに、その動向に左右されることになりそう。」との分析を示している。
日用雑貨品の買いだめについては、「子供用紙おむつ」の46.3%を筆頭に、「トイレットペーパー・ティシュペーパー」、「洗濯洗剤」など使用頻度が高い品目で需要が見込まれる結果となった。
増税後は8割の人が「支出をしぼる」
今回の増税が行われた後のことについて聞くと、家計を「引き締める」と答えた人が31.1%、「少し引き締める」が50.2%となった。8割を超える人が、財布のひもを固くするとしている。
前回の増税直後にインテージが行った調査では、1年前と比較して「引き締めている」が25.4%、「少し引き締めている」が47.3%と答えている。7割超の人が実際に支出を引き締めている、という結果となった。
調査を行ったインテージでは、「今回の調査は増税前に実施しているため、影響を過大に感じて引き締める意向が高い可能性があるが、前回並みの買い控えが行われるかもしれない。
前回は5%から8%の増税が行われたが、景気の落ち込みがあったと言われている。今回は増税幅が2%、かつ軽減税率があるなど、前回よりは実質的な影響は少なくなるはずだが、小売店などは販売促進など、対策が必要になりそうだ。」との見解を示している。
<出典元>
「2019年の消費税増税 軽減税率導入で消費への影響は?」
インテージ