時代の変化に合わせて教育の変化も求められる

鉛筆とノート、国語・算数・理科・社会。これまで当たり前だった子供の教育に関する内容や手段に変化が訪れている。大きなトピックのひとつに、2020年度より順次施行される “新学習指導要領の変更” が待ち構えている。そう、小学校~高等学校の各学校で「プログラミング教育」が必修化されるのだ。

また、2024年度以降の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、CBT方式(Computer Based Testing)という、パソコンで試験を受ける方式の導入も検討されている。つまり、鉛筆と紙ではなくパソコンに慣れておくことも受験を勝ち抜くために必要な要素となるのだ。

テクノロジーを活用したサービスやモノが日常に溢れるようになった現代、テクノロジー化がさらに加速する未来を考えると、教育内容に変化が訪れるのも当然だ。これから必要とされる力はどんなものなのか、そして未来を担う子供たちにその力をどう授けていくべきか。教育は変化のときを迎えている。

ベストセラーマンガ『ドラゴン桜』『ドラゴン桜2』の主人公であり、ITを駆使した最新の勉強法を提案する弁護士・桜木建二に、“テクノロジー時代に求められる教育” について話を伺った。

<桜木建二>
ベストセラーマンガ『ドラゴン桜』『ドラゴン桜2』(三田紀房)の主人公。弁護士として落ちこぼれ高校・私立龍山高等学校の運営改革を請け負い、東大合格者を多数輩出。それから10年、『ドラゴン桜2』では再び学力が低下した同校に戻り、教え子・水野直美と改革を断行。2020年の教育改革を前に、ITを駆使した最新の勉強法を提案する。

テクノロジーが溢れる時代に必要なのは、それを操る力

桜木「現代を生き抜くためには、今がどんな時代かを考えるべきだ。アメリカでは、プログラミング能力を持った人材は収入額が3~5倍に増加すると言われている。ITスキルのあるFacebookやGoogleの新卒社員の年収は、実に2000万円超になることも。それほどITスキルが評価されるテクノロジー時代に突入しているんだ」

これまで、多くの人は運転免許や簿記検定の資格など、従来と変わらない一般的なスキル取得に奔走している。

桜木「確かに、車が開発されてからは運転できることでそれ自体が仕事となった。他にも車の設計士、修理工、運転手、自動車ディーラーなど、新しい職業が山のように生まれた。車もひとつのテクノロジーだ。テクノロジーが進化すると、周辺に仕事が生まれる。そしてテクノロジーに助けられる側と操る側に分かれる。大切なのは、テクノロジーを操る側に立つことだ」

桜木「今の時代に求められているのはITデバイスを扱いこなすスキルだ! これからも常に進化し続けるであろうITデバイスを使いこなせる人には大きな価値がある。ITデバイスが世の中にもたらした影響は、車の比ではない。免許や資格の有無では計れない膨大なメリットがあるんだ。現代、そして未来で活躍できる人材になるためにも、ITデバイスには子供時代から親しんでおいたほうがいい」

力をつければパソコンは魔法の杖になる

桜木「力をつければ、“消費する側“ではなく“創造する側“へまわることができる。そうすれば想像力次第で、何でも生み出すことができるんだ。学生はスマホやタブレットを使って、一般ユーザーとしてコンテンツ消費している人が大半だろう。しかし何かを生み出す人になるならスマホだけではなくパソコンも操る必要がある。保存データを活用した集計や分析、プレゼンテーションや動画制作、プログラミングなど、高度なアウトプットをするにはやはりパソコンを活用すべきだ」

現在のサービスは、すべてパソコンから生み出されている。「プログラミング」という呪文を身につければパソコンが魔法の杖となり、自由自在に新しいものを生み出すことができる。ひいては世界を変えることができるのだ。

桜木「子供が成長するのはインプットではなくアウトプットだ!子供は「作りたい」と思ったときに初めて集中してインプットする。プラモデルなどの工作に熱中するのも、それを作りたいと渇望するからだ。従来の教育は座学で知識を詰めこむインプットが中心で、アウトプットする機会が圧倒的に少ない」

アウトプットする機会を子供に与えるのがパソコンだ。スマホは情報がテキストと画像中心でシンプルなアウトプットには適しているが、複雑なアウトプットをするなら編集能力が高いExcelやPowerPointなどを備えているパソコンが適している。

桜木 「パソコンで得られるスキルとしてビジネス分野で利用頻度の高いWord、Excel 、PowerPointといったマイクロソフトOfficeのソフトに慣れ親しんでおくことの利点は計り知れない。文章、画像、動画、データ、プレゼンテーションなど、様々なかたちのアウトプットを網羅的に実践することができることは非常に大きい。そして、そのまま社会に出ても通用するスキルを習得できるため、汎用性の高さもアドバンテージのひとつとなる。つまり、こうしたソフトを搭載したパソコンで日々アウトプットすれば、世の中を変える創造力を培えることになる」

子供に授ける初めての「杖」

それでは、子供に授ける初めての杖はどのように選んだらよいのだろうか。

桜木「パソコンもスマホも進化しているので、どちらにも慣れる必要がある。まず幼稚園生まではスマホやタブレットに触れて、ITデバイスに慣れるといいだろう。最近では、プログラミング思考を学べるおもちゃも開発されている。プログラミング脳を育てる『キュベット』もそのひとつだ。イギリスの教育機関でも使われていて、デジタル画面ではなく木製ロボットで遊びながら論理的思考を身につけられる」

イギリス生まれの小さなコンピューター「micro:bit(マイクロビット)」もプログラミング思考の教育におすすめである。イギリスでは11歳~12歳の子供全員に無償で配布されており、授業の中で活用が進んでいる。

他にもNHKのプログラミング番組『Why!? プログラミング』もキッズ世代におすすめだ。すべてがプログラミングでできた仮想世界「スクラッチ・ワールド」を舞台に、問題形式でプログラミングを体験学習できる番組である。ウェブサイトでは小学生でも簡単にプログラミングができるソフトを提供しており、プログラミング思考の学習にも適している。

桜木「小学生になったら本格的にITデバイスを理解できるようにパソコンを渡せ。とはいえ、キッズ世代はまずはパソコンに慣れることが重要。まずはシンプルでスタンダードなパソコンが良いだろう。学生世代は学校で様々なデータを扱うのでドライブ付属などの対応力や大容量で高性能なパソコンが理想的だ」

教育向けにも展開を強化しているLenovoの製品であれば、キッズ向けにはコンパクトでスタンダードな『IdeaPad 120S』、学生向けにはオプティカルドライブ付属で大容量・高性能な『IdeaPad 330』がおすすめだ。

『IdeaPad 120S』は画面サイズが11.6型とA4用紙程度の小さいモバイルタイプで1.15kgと軽量であるため、子供でもリビングの机に持ち運びしやすく、最初に扱うパソコンとして適している。

Ideapad 120Sの詳細はこちら

一回り大きな『IdeaPad 330』は15.6型のノートブック製品。読み書き可能なDVDドライブが付属しており、メディア教材にも対応可能だ。インターネット動画などのデータをパソコン内に保存する容量もあり、受験勉強にも活用できる。映り込みが少ないノングレア(非光沢)タイプの液晶を採用し、長時間使用時も目が疲れにくいため、動画視聴の際はもちろん、資料作成などのアウトプットにも適している。

Ideapad 330の詳細はこちら

ITデバイスを使って何をするかは自分で決めさせろ!

桜木「子供にはパソコンやスマホなどのITデバイスを早く渡すべきだ。いまだに子供がスマホばかり見ていると『教育に悪い』と言われがちだが、新しいものは古い世代から否定されるのが常。実際にこれだけITデバイスが浸透している現代で、ITデバイスを扱うスキルが身につかないほうが教育に悪い。進化するITデバイスは、触り続けないと理解できないんだ。『キャプテン翼』でも『ボールは友達』と言うように、小さい頃からITデバイスと友達になって強くなれ!」

子供をITデバイスから遠ざけていると、将来使われる側の人間になってしまうだろう。ただ、ブルーライトは脳に刺激を与え睡眠時間に影響がでるため就寝前は気をつけたいところだが、Windows 10には夜間モードという名前でブルーライトカット機能が標準で付いているため上手く活用すると良いだろう。

桜木「注意すべきは、パソコンもスマホもあくまで道具だということ。ITデバイスは人生を豊かにする可能性があるが、ITデバイスが使えれば安泰というわけではない。どこに行くか決めるのは自分だ。楽しめるかどうかも自分次第。ITデバイスを使って何をするかは自分が決めろ。また、子供にそれを教えるのはパソコンでもスマホでもなく、周りにいる人間だ。周りの人間が人生を楽しんでいる様子を見せることで、子供は人生の楽しみ方を学ぶんだ」

桜木建二が語ったように、テクノロジーが溢れる未来に必要なのは、パソコンなどのITデバイスを使って様々なものを生み出すテクノロジースキルと自分の意志である。2020年のプログラミング教育必修化など、より必要性が増していく今こそ、スキル習得の第一歩として子供に初めてのパソコン、魔法の杖を持たせてみてはいかがだろうか。

(画像) Ⓒ三田紀房 / コルク
(文)萩原かおり