一般社団法人日本能率協会(JMA)は、全国の部課長400人を対象として、組織の活力向上についての取り組み意識に関するアンケート調査(※)を実施。
本調査は、組織活力の視点から、部課長が日頃どういったマネジメントを行っているか調べたものだ。
今回の調査の主なトピックは以下のとおり。
- 日頃マネジメントで心掛けているのは「責任は自分でもつこと」「部下育成をすること」「部下の仕事ぶりをよく見ること」。
- 自身が身に着けたい能力・資質は「コミュニケーション力」「統率力」「コーチングスキル」。
- 部下に身に着けて欲しい能力・資質は「チャレンジ精神」「積極性・主体性」。
- 風通しがよいと思う企業は、1位:「Alphabet(Google)」、2位:「ソニー」「サントリー」「Apple」
※調査概要
調査期間:2018年10月19日~2018年10月28日
調査対象:(株)日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち、全国の20歳~69歳までの企業・団体に勤務する部長・次長・課長層
調査方法:インターネット調査
回答数 :400人(部長・次長200人、課長200人)
マネジメントで心掛けていることで最も多いのは「責任は自分でもつこと」(32.0%)
日頃マネジメントで心掛けていることは何か聞いたところ、「責任は自分でもつこと」(32.0%)が最も多く、「部下育成をすること」(28.5%)、「部下の仕事ぶりをよく見ること」(25.8%)が続いた。
この調査ではマネジメントしている組織に「活気があるか」との質問を別にしているが、「活気がある」(287人)、「活気がない」(113人)それぞれをえらんだ群を比較したところ、「活気がある群」では、以下の結果となった。
- 第1位「責任は自分でもつこと」(34.5%)
- 第2位「部下育成をすること」(28.6%)
- 第3位「部下の仕事ぶりをよく見ること」(27.9%)
一方、「活気がない群」では、以下のような結果だった。
- 第1位「部下育成をすること」(28.3%)
- 第2位「責任は自分でもつこと」(25.7%)
- 第3位「部下の話をじっくり聞くこと」(23.9%)
それぞれ、順位には差がみられる結果となった。
また「活気がある群」が「活気がない群」と比較して5ポイント以上高い回答として、以下があげられる。
- 「部下の適性を見極めた業務分担をすること」(12.5ポイント高)
- 「責任は自分でもつこと」(8.8ポイント高)
- 「部下の仕事ぶりをよく見ること」(7.5ポイント高)
- 「チームのビジョンや目標を自分の言葉で語ること」(8.2ポイント高)
だった。
たいして「活気がない群」について「活気がある群」と比較して5ポイント以上高いのは「部下と雑談をすること」(6.9ポイント高)だった。
JMAは調査結果をもとに、活気ある組織作りに向け重要なのは、「チームのビジョンや目標を自分の言葉で語り、部下の仕事ぶりをよくみて、部下の適正を見極めた業務分担をすること、そのうえで責任は自分で持つこと」といった点が示唆されていると見解を述べている。
よりよいマネジメントのため身に着けたい能力・資質は「コミュニケーション力」(31.0%)
よりよいマネジメントを行うために身に着けたい能力・資質を聞いたところ、「コミュニケーション力」(31.0%)が最も多く、「統率力」「コーチングスキル」(いずれも26.5%)が続いた。
JMAは、マネジメントではまず部内のコミュニケーションを活発化させることが求められていると推察している。
また、メールでのコミュニケーションや座席のフリーアドレス化などで対面でのコミュニケーションの機会が減っていることから、コミュニケーション力を意識的に強化したいと考えているのではないかと見解を示している。
部下に身に着けて欲しい能力・資質は「チャレンジ精神」(40.3%)
調査ではマネジメント向上のため、部下に身に着けて欲しい能力・資質についても聞いている。結果、全体では「チャレンジ精神」(40.3%)との回答が最も多く、「積極性・主体性」(37.8%)、「コミュニケーション力」(26.0%)、「創造力」(24.3%)、「協調性」(24.0%)が続いた。
風通しがよいと思う企業は、1位「Alphabet(Google)」、2位「ソニー」「サントリー」「Apple」
風通しがよいと思う企業を聞いたところ(自由回答形式)、126社の回答が寄せられ以下の結果となった。
- 第1位:Alphabet(Google)28票
- 第2位ソニー、サントリー、Apple(共に9票)
- 第5位ZOZO、Amazon(共に7票)
結果をみてみると、米国代表IT企業GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のうち、3社がランクイン。
日本勢では、「やってみなはれ」との社是が特徴的なサントリーや、設立時に「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」を掲げたソニーが上位につけている。
また新興企業のなかでは、ZOZO・サイバーエージェント・LINEがランクインしている。
今回の結果を受け、一般社団法人日本能率協会KAIKA研究所の所長である近田 高志氏は、「one on oneによるマネジメントが注目されていますが、より職場のメンバーとのコミュニケーションを密にして、一人ひとりの状況を把握し、丁寧なサポートをすることが重要」であり、そのためにも「マネージャーはコミュニケーションやリーダーシップ、コーチングスキルなどの能力向上が期待されます。」と述べている。
その上で、会社として「マネージャーの能力開発に加え、組織のコミュニケーションや関係構築を促進するため『組織開発』のアプローチが必要と考えています。」との見解を示している。
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