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増加する大画面テレビ
子供のころ、小さなテレビを家族で囲って楽しんでいたのを思い出す。あの頃と比べると、現在のテレビは非常に大画面のものが多い。大画面テレビで味わう迫力はなんともいえないものだ。
しかし、実は大画面になることの弊害として、画面が大きくなる分、映像は荒くなってしまう。つまり、ハードの進化に合わせて、ソフト面の進化も必要となるのだ。
これまでのテレビ放送の歴史を振り返ると、ハードとソフトがお互いに高め合ってきた歴史がある。
箱型のブラウン管テレビが登場し、テレビを一般家庭でも楽しめるようになったのが1950年代だ。時代が進み、1970年代にはカラーテレビが普及する。1980年代にはBS放送開始を皮切りに、1990年代にはソウルオリンピックに合わせてハイビジョン映像の実験放送が開始され、躍動感ある選手たちの映像に人々は釘付けとなる。
2000年代に入ると、地上デジタル放送が開始され、より高画質なハイビジョン映像の視聴が可能となった。時を同じくして、現在主流となっている奥行きが圧縮された薄型テレビが登場し、大画面テレビや壁掛けテレビが登場する。表現できる画素数が大きくなったことで、家庭用のテレビでもぼやけずに鮮明な映像が楽しめるようになったのはこの辺りからだ。
2010年代には、テレビ放送を58年間支えてきたアナログ放送が終了し、デジタル放送へ完全に移行する。テレビ放送の変遷に合わせて、テレビ本体のパネルもプラズマから液晶、さらに有機ELへと進化をとげている。これによってテレビはより美しいコンテンツを大画面で人々に提供できるようになった。
おおよそ70年近い歴史を持つテレビは時代に合わせて人々を魅了し、昭和の小さくて分厚いテレビから、今や大きくて画面も美しいテレビがお茶の間を賑わす時代に変化した。そんな歴史をたどるテレビだが、さらに進化をするタイミングが訪れたのだ。
「新4K8K衛星放送」開始へ
2018年12月1日より、BS・110度CSによる「新4K8K衛星放送」が開始した。「新4K8K衛星放送」とは、BS・110度CSで始まる新しい4K・8K放送だ。
端的に説明すると、4K画質では従来のフルHD(2K)映像のおよそ4倍もの画素数を提供する。8Kになると16倍以上にもなる。これまでのフルHDでは約200万画素だったが、4Kで約800万画素、8Kになると約3,300万画素も一度の映像で再現することが可能となったのだ。
画素数が増えることで映像がよりクリアになる。さらに表現ができる色彩の幅が広がる(広色域化)ことによって、実際に目で見ている色合いと近しい色を認識できるようになった。まるで自身の目を通して、その場面を見ているかのような感覚が体感できるのだ。
画像の高速表示にも対応したことから、サッカーや野球など動きのあるスポーツについても選手たちの動作を滑らかに、そして、ぼやけずに見ることができる。さらに夕日などのグラデーションがより自然な映像となる多階調表現、白飛びを軽減し、より現実に近い明るさを実現した輝度なども4K・8K放送の特徴として挙げられる。
つまり4K・8K放送の登場によって、これまでわたしたちが目を通して認識している映像に近い状態を、テレビを通しても見られる時代がやってきたのだ。それでは、「新4K8K衛星放送」はどのように楽しむことが出来るのだろうか。
「新4K8K衛星放送」を楽しむための環境
「新4K8K衛星放送」を楽しむためには、どのような環境が必要なのだろうか。ここでは、大きく「4K対応テレビ」、「4Kテレビ」の2つからご紹介する。
まず「4K対応テレビ」の場合には、4K放送を見るためのチューナーの準備が求められる。併せて4Kに対応したアンテナと宅内配線が必要だ。「4Kテレビ」の場合には、4Kチューナーが内蔵されているため、4Kに対応したアンテナと宅内配線だけで大丈夫だ。
「新4K8K衛星放送」では、4K・8K放送によって増加するチャンネルラインアップに対応するため、現在BS・110度CSで使用されている右回りの電波である右旋(うせん)に加え、左回りの電波である左旋(させん)も新たに使用される。
既にBS・CSアンテナを利用している家庭については、必要な設備をセットすれば右旋による4K放送を楽しむことができる。しかし右旋で視聴できるチャンネル数は限られてしまうため、左旋で視聴できるチャンネルも楽しむためには左旋にも対応したアンテナなど、環境を整える必要がある。
左旋で使用される電波帯域はこれまでの電波よりも周波数帯域が高いため、中にはアンテナと接続されるブースターをはじめ、宅内配線・機器の改修または交換が必要となるケースがある。このとき購入目印となるのが、「SH」というマークだ。これは、「新4K8K衛星放送」に適した製品にだけ付与される。
ケーブルテレビを活用した方法も
他にもケーブルテレビを活用する方法もある。その中の1つがJ:COMだ。J:COMでは、「新4K8K衛星放送」が開始される2018年12月1日から4K放送を開始した(※)。4K対応テレビさえあれば、J:COMの4K対応チューナーを設置するだけで、アンテナ不要ですぐに4Kコンテンツを楽しむことができるのだ。
またフルHD(2K)テレビを使用している人も、J:COM の4K対応チューナーを利用すれば画質はフルHDのままだが、4K対応テレビ同様、4Kコンテンツを視聴することが可能だ。
4Kコンテンツを手軽に楽しみたい人はもちろん、何を選択すればいいのかわからないという人は、試しにJ:COMをはじめとするケーブルテレビからはじめてはいかがだろうか。4K導入コストも検討時間も最小限に抑えられるはずだ。
※「NHK BS 8K」は開始時期を検討中。
4Kコンテンツが順次登場
J:COMでは、2018年12月1日のスタート以降4Kコンテンツが順次登場しており、映画、国内ドラマ、旅&紀行、スポーツ、ネイチャーなど多数のコンテンツを楽しむことができる。
NHKとBS民放各社が提供する4Kチャンネルをはじめ、世界のメジャーからマイナースポーツを抑えたJ SPORTS、洋画専門チャンネルのザ・シネマといった有料チャンネル、日本全国のケーブルテレビ局が制作した4K番組を放送するケーブル4K、YouTubeの4Kコンテンツなども視聴ができる。もちろん、J:COMオンデマンドでも4Kコンテンツは配信される。
このように、4Kコンテンツを手軽に視聴できることに加えて、4Kコンテンツが順次登場することで、より鮮明な映像を体験する機会もたくさん増えていく。
大画面でのコンテンツがより充実する
このように、テレビ放送のクオリティは進化している。今後は国際大会なども含め、スポーツ観戦のコンテンツを楽しむ機会が増えていくなかで、やはりそういった映像は大画面で鮮明な画質で楽しみたいものだ。
昨今はインターネットの普及によってテレビ離れも問題となっているが、テレビだからこそ提供できる場面や機会はまだまだ多く存在する。
テレビの質が高まることでより臨場感が増し、まるでその環境へスッと入り込むことができるようになるのは、ハード面もソフト面も進化を続けるテレビ放送だからこその魅力ではないだろうか。