エン・ジャパンは、同社のミドル世代向け転職サイト「ミドルの転職」において、サイトを利用する転職コンサルタントを対象として「引きとめ」に関するアンケートを実施(※)。139名から回答をえて、その結果を発表した。
アンケートによれば、5割のコンサルタントが、「2人に1人のミドルが退職時に引きとめにあっている」と回答。引きとめられやすいのは「後任が不在の場合」で、引きとめの手段として最も多いのは「時期の引き延ばし」だった。
引きとめにより転職を思いとどまるケースは、全体の「3割未満」とのことだった。また「悪質な引きとめ(ハラスメント)に遭遇したことがある」と4割の転職コンサルタントが回答した。
(※)調査概要
・調査方法:インターネットによるアンケート
・調査対象:「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタント
・有効回答数:139名
・調査期間:2018年11月2日 ~ 11月14日
ミドルの退職時、2人に1人のミドルが引きとめにあう
転職支援のプロである転職コンサルタントに「退職時、どのくらいのミドルが引きとめにあうか」聞いたところ、45%が「5割以上」と回答。半数のコンサルタントが、半分以上のミドルが退職時に引きとめにあっていると答えた。
そのほか、「3割以上」(27%)、「1割以上」(17%)と続き、「1割未満」との回答は約1割(11%)にとどまった。
引きとめにあいやすいのは「後任不在の場合」、引きとめに応じるのは全体の「3割未満」
引きとめにあう確率が高いのはどんな場合か聞いたところ、最も多かったのは「後任が不在の場合」(58%)との回答。「進捗中のプロジェクトに関わっている人物の場合」(49%)や「役職者の場合」(34%)、「上司、同僚、部下に慕われるなど人物的評価が高い人物」(34%)などが続いた。
また引きとめの手段として最も多いのは、「後任が見つかるまでなど、時期の引き延ばし」(59%)で、「年収アップが提示される」(55%)、「経営層や上司などからの期待や説得」(45%)が続いた。
その一方で、仮に引きとめられたとしても「引きとめられて、どのくらいのミドルが転職を思いとどまりますか?」という問いでは、約8割のコンサルタントが「3割未満」と回答。「5割以上」「8割以上」と回答したのは、両方あわせても7%にとどまった。
転職コンサルタントの4割が「悪質な引きとめ(ハラスメント)に遭遇したことがある」
この調査では、転職コンサルタントに対して「悪質な引きとめ(ハラスメント)に遭遇したことがあるか?」ついても聞いた。結果、40%の転職コンサルタントが「ある」と回答。
遭遇した「悪質な引きとめ」の内容を具体的に聞いたところ、トップ3は以下のとおり。
第1位:「退職届を受け取らないなど手続きを進めない」(67%)
第2位:「退職時期を度々延長させられる」(61%)
第3位:「上司や上位役職者による恫喝」(45%)
そのほか、「よくない評判を流していき場所をなくす」「転職先企業に連絡される」(いずれも6%)など、なかには特に悪質な行為も見受けられた。
転職コンサルタントが教える悪質な引きとめに対する対処法
転職コンサルタントに、悪質な引きとめにあった場合の対処方法について聞いた。そのなかであがった内容を以下に紹介する。
- 直接、人事に対して退職届を手渡す。
- なにをいわれても、次の企業が決まっていてサインを済ませているため応じられないとはっきり伝える。
- 確固たる姿勢で粘り強く交渉を続ける。特に対応が悪質であるようなら、労働局への相談も辞さないことを伝える。
- 退職届を意図的に受け取ってくれない場合、職業選択の自由を侵害していることになる。弁護士や社労士へ相談し、その見解を人事部へ書面で伝える。
- 退職届が破棄されてしまった上で、内容証明をつけた簡易書留により改めて退職届を郵送するも、受け取り拒否された方もいた。このケースでは労働監督署へ相談し、ようやく退職が受理された。悪質な場合には、速やかに公的機関へ相談するべき。
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