イトーキは、働き方の自己裁量がワーカーの生産性とワークエンゲージメントに及ぼす影響について、全国の従業員300人以上の企業・団体に所属するホワイトカラーワーカー20代~60代歳の男女(※)3,102人を対象に2018年8月10日(水)~8月14日(日)の間でインターネットによる調査を実施したと発表した。
※本調査は、調査対象3,102人のうち、公務員274人を除く2,828人で集計
同社は、自己裁量の大きいワーカーの方が仕事における生産性やワークエンゲージメントが高まることが明らかとなったとしている。
自己裁量の大きいワーカーはわずか6.2%、自己裁量の小さいワーカーは全体の23.7%を占める
本調査ではまず、各設問に回答したホワイトワーカーを働き方の自己裁量の大きさで分類し、以下のように定義した。
- 「多様な活動に合わせた空間の機能性」
- 「制度導入や社内ルール確立による柔軟性」
- 「ITツールの充実による移動性」
- 「心身の健康を保つ為の空間品質性」
- 「自己裁量大ワーカー」(1~4を満たすワーカー群)
- 「自己裁量小ワーカー」(1~4を満たさないもしくは他ワーカーと比べて低い水準のワーカー群)
- 「自己裁量中ワーカー」(いずれでもない中間に位置するワーカー群)
そうすると、「自己裁量大ワーカー」は全体の6.2%ほどしかおらず、働き方における自由度の高い環境を与えられているワーカーが少ないという現状が見えたという。それに対し、「自己裁量小ワーカー」は全体の約4分の1を占め、多くのワーカーが自由度の低い環境で働いていることがわかったという。
自己裁量度が高まると、生産性とワークエンゲージメントも高まる
さらに働き方の自己裁量がワーカーのパフォーマンスに与える影響について検証するべく、ワーカーの自己裁量度を大・中・小にわけ、「生産性」と「ワークエンゲージメント」の指標で比較。
その結果、「自己裁量大ワーカー」と「自己裁量小ワーカー」を比べると、生産性が高いと回答した人の割合が倍以上の差がでる結果となった。
また、 ワークエンゲージメントについては、0pt~6ptでスコアを算出※し、「自己裁量大ワーカー」は平均3.60pt、「自己裁量小ワーカー」は平均2.27ptと、約1.33ptの差がでたという。
同社は、働き方の自己裁量が大きいワーカーは他のワーカーと比べ、生産性/ワークエンゲージメントともに高く、自己裁量が大きくなるにつれてパフォーマンスも高くなるという考えを示した。
※本レポートにおけるワークエンゲージメントについてはユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度(UWES)の9項目を使用。各項目を6点満点で評価し、その合計点数を9で除した数値をポイントとして算出し、数値の大きさがワークエンゲージメントの高さを表す。
仕事の種類に関わらず、働き方の自己裁量が大きいワーカーは高いパフォーマンスを発揮する
次に、仕事の種類と自己裁量度によって生産性やワークエンゲージメントがどのような相関を示すのかを実証するため、(※)定型業務の割合で、以下のように分類。
(※定型業務:作業内容がある程度決まっているようなマニュアル化可能な仕事)
- 「非定型ワーカー」(0~30%)
- 「ほぼ非定型ワーカー」(31~63%)
- 「ほぼ定型ワーカー」(64~80%)
- 「定型ワーカー」(81~100%
その後、各分類のワーカーの生産性と、ワークエンゲージメントの高さを働き方の自己裁量度別に示すと、自己裁量度が高まると、生産性とワークエンゲージメント両者が高まることがわかりました。自己裁量を高めることによって、全てのワーカーがその効果を享受できることがわかったとしている。
パフォーマンスに最も影響を与える、働き方の自己裁量の因子は「空間」
本設問では、冒頭の定義に従い、各因子単体を高いワーカー群と低いワーカー群に分け、生産性とワークエンゲージメントを集計。
その結果、4つの因子のうち、生産性に最も影響を与えるのは「空間機能性」であり、活動に合わせた空間を多く与えられているワーカーとそうではないワーカーでは、生産性に25.5%の差があることがわかったという。
一方、ワークエンゲージメントに最も影響を与えるのは「空間品質性」であり、空間品質性が高いワーカーは、低いワーカーと比べて、ワークエンゲージメントが1.01pt高いということが判明し、生産性とワークエンゲージメントともに、最も影響を与えている因子は空間であることが明らかとなった。
なお同社は、各因子が持つ影響力をより高めるには、単体で取り入れるだけでなく、組み合わせて展開することが必要との見解を示している。
働き方の自己裁量が大きいワーカーほど、自社の働き方改革やオフィス環境に肯定的
働き方改革に対する意識とオフィス環境の満足度についても調査した結果、自己裁量小ワーカーは自社の働き方改革やオフィス環境に対して否定的であり、自らの状況に対して不満を持っていることが明らかになったという。一方で、自己裁量大ワーカーは自社の働き方改革やオフィス環境について、非常に肯定的に捉えていることもわかったとしている。
同社は、自己裁量度が高いことによって、自らの働き方が生産的であり、ワークエンゲージメントが高い状態であることが、自社の働き方改革やオフィス環境への肯定的な評価につながっているとの見解を示した。
<参照元>
働き方の自己裁量を高めるとワーカーの能力は解放されるのか
ITOKI