AI企業のワンダラスは、住宅ローンサービスを行う各種金融機関向けに、同社の開発した、担保評価AIプロダクト「OlivviA(オリビア)」を2018年12月3日より提供開始することを発表した。
担保評価AI「OlivviA」とは
「OlivviA」は、住宅ローン審査における人的与信(仮審査)と物的与信(本審査)のうち、物的与信に係る業務をAIにより完全自動化する日本初(※同社調べ)のサービスだ。
同社がWebメディア「競売マンションドットコム」の事業運営を通じて、独自に蓄積した過去4年分強の競売不動産売却結果データを活用して実現したのが、機械学習型の「OlivviA」だという。
現在対応しているのは、一都三県の各種中古マンションの担保評価だが、今後1年以内に関西圏を含む日本全国の中古マンションの担保評価に順次対応していく予定である。
「OlivviA」における担保評価AIの仕組み
「OlivviA」は、未だ競売にかけられていない中古マンションが、仮にX年後に抵当権の実行により競売にかけられた場合の売却値段を予測するAIだ。
「抵当権付きの住宅ローン被担保債権金額 < 担保不動産の将来の売却金額」は成り立つという前提のもとで、AIが融資審査段階で中古マンションの将来の売却価格を予測できるようになると、
- AIによる、抵当権実行時の債権回収可能金額の予測が可能
- AIによる、担保不動産の本来の担保価値の推定が可能
- AIによる、物的信用力に基づいた融資限度額の指標推定が可能
ということになる。
金融機関は、住宅ローン申込者から取得した、購入予定の中古マンションの所在地、売出価格、成約価格、専有面積、間取り、所在階、主要開口部の方位などの各種情報をインターベース上などから「OlivviA」に入力することにより、当該物件のX年後の推定担保価値(売却価格予測値)を瞬時に把握できる。
これにより金融機関はこれまでの人的与信重視の審査方式から物的与信重視に移行でき、住宅ローンの貸し出し対象層における視野の拡大を見込めるとのこと。
OlivviAの予測精度
2018年11月30日現在における、一都三県の中古マンション物件データを対象としたOlivviAの推定精度検証結果は以下のとおり。なお、推定精度は今後さらなる改善が見込まれているとのこと。
- 決定係数:98.4%
- MER(絶対パーセント誤差の中央値):3.7%
- 絶対パーセント誤差5%以内のサンプル割合:61%
- 絶対パーセント誤差10%以内のサンプル割合:86%
- 絶対パーセント誤差15%以内のサンプル割合:95%
※MER (Median Error Rate):値が小さいほどアルゴリズムの推定精度が高いことを示す指標。例えばMERが3%である場合、全体の物件のうち半数の物件が3%以下の誤差率で推定できていることを意味する。
※絶対パーセント誤差N%以内のサンプル割合:AIが予測した売却価額と実際の売却価額の誤差(差額)の絶対値を当該売却価額で割ってパーセント単位にした値を絶対パーセント誤差とし、その絶対パーセント誤差がN%以内の範囲にあるサンプルの割合。
同社は今後、金融機関向けSIベンダー等と協業しながらメガバンク、地銀、信金、ネット銀行、モーゲージバンク等各種金融機関へのOlivviA導入を進めていくとしている。
img:PR TIMES