FRONTEOヘルスケアがAIを活用した新規医薬品候補探索技術を開発

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FRONTEOの子会社で、AIによる医療・介護等の情報解析ソリューションを提供するFRONTEOヘルスケアは2018年11月19日、ヘルスケア業界向けに独自開発した「客観性」「透明性」「再現性」を特徴として備えるAIエンジン「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」を活用した新規医薬品候補探索技術を開発したと発表した。

この技術の特徴は、研究者が、ベクトル演算を用いた自然言語処理技術を使い、仮説と公開データベース情報などにある文献の記載内容との関連を調べたり、単語や文書同士の足し算や引き算による探索ができたりすることだという。

ヘルスケア関連のビッグデータ活用で、研究者業務の効率化

Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)は、FRONTEOヘルスケアがヘルスケア・インダストリーに特化して開発したAIだ。自由記述のテキストデータを大量に含むヘルスケア関連のビッグデータを、エビデンス(根拠)に基づいて有効に解析・活用することを目標に開発した。

ヘルスケア従事者の共通認識である「エビデンスに基づいた医療(EBM)」に欠かせない有意差検定などの統計学的手法を自然言語解析に導入、実現しているという。

Concept Encoderはテキスト以外のデータとの共解析も可能であり、ヘルスケア領域に蓄積されてきた遺伝子発現情報・バイタルや各種検査値などの「数値データ」との共解析の研究を進めているという。

公開データベース情報を利用し、AIで医薬品候補化合物の作用をシミュレーションする方法は盛んに行われ、すでに研究開発の効率化に取り入れている企業が国内でもいくつかあるという。

しかし、FRONTEOヘルスケアによると、Concept Encoderを軸とした情報解析ソリューションは、これらのシミュレーション技術とは異なる切り口となる、AIを活用した新しい探索技術だという。

具体的には、公開データベース情報と論文(文献)のテキスト情報をConcept Encoderに学習させた後、研究者の仮説を自然文で作成し、Concept Encoderに投入すると、仮説に関連するターゲット遺伝子ネットワークなどとの関連性の強さがスコア(数値)で可視化される。

また特定の化合物と関連の深い、新たな疾患を浮かび上がらせることもでき、従来のデータベース検索に留まらない幅広いアウトプットを得ることが可能だという。

さらにベクトル演算を行っているため、例えば、既存の医薬品に関連する特定の疾患やターゲット遺伝子ネットワークなど、探索に不要な要素を自在に引き去り、差分のみを対象に解析を進めることが可能だ。

自然言語処理を取り入れて文献の内容をベクトル演算し、データベースと文献内容を一緒に探索する方法は、FRONTEOヘルスケア独自の技術だという。同社では、この技術は医薬品候補探索にとどまらず、今後、さまざまなネットワークの解析等に利活用が可能な、実用性・利便性の高い技術だとしている。

img:PR TIMES

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