エンジニアのキャリアを応援するマガジン「fabcross for エンジニア」では、2018年7月26日~8月2日の間に、20~59歳の公務員・会社員1万123人を対象として、残業時間に関するアンケート調査を実施した。
※調査方法はネットリサーチ
同マガジンでは同様の調査を昨年(2017年3月)にも実施しているが、今回の調査結果は昨年と比較し、月の残業時間の平均が0.6時間短く平均17.7時間という結果になった。一方、前年と比較して残業が減っていると答えたのは、全回答者のうち29.7%にのぼった。
また昨年と比較して残業時間が「変わらない」と答えた回答者に絞って聞くと、生産性を高めるための取り組みを「行ったことがない」「やり方が分からない」と答えたのはそのなかで72.0%だった。
2019年4月に施行される働き方改革関連法案で日本の残業時間はどう変化するか
2019年4月からは「働き方改革関連法案」が施行される予定となっており、長時間労働是正のための時間外労働の上限規制が導入されることになる。この法案によって労使協定や一部例外を除いて、月間の残業時間が45時間に制限されることになる。
日本人の労働時間が長いことは近年社会問題にもなっており、大きな労働問題としてメディアでの報道も受けている。そういった風潮がひろがるなかで、実際に多くの企業が残業削減に取り組み始めている状態だ。
今回の調査では、このような企業の情勢において、日本人の残業時間が2017年3月時点の調査(※)と比較してどのように変化したかに焦点をあてている。
※1万人残業調査2017年「多過ぎる」と感じる残業時間は36.5時間。残業ゼロは21.3%
1カ月の平均残業時間は17.7時間で前年調査より0.6時間減少
有効回答者による「平均的な1カ月の残業時間」の回答結果の平均値は17.7時間で、2017年調査の18.3時間という結果と比べ0.6時間減少した結果となった。中央値に関しては、昨年の調査結果と同様で10時間だった。
より細かくみると、「0時間」が21.3%、「1~10時間」か35.9%、「11~20時間」が15.9%、「21~30時間」が9.8%となり、あわせて全体の8割超(82.9%)が1カ月の平均残業時間が30時間以内という結果になった。
業種別では月間11時間以上の残業をしている比率が最も高いのは「教育、学習支援」(56.5%)。この分野の平均残業時間は31.6時間だった。
職種別では「教育・保育関連職」(61.2%)が月間11時間以上の残業をしている比率が最も高く、平均残業時間は34.6時間となっている。
次に年齢別でみた場合、平均的な1カ月の残業時間が最も長いのは、「50~54歳」と「55~59歳」で、いずれも月間の平均残業時間は19時間だった。一方、たとえば20~24歳の平均的な残業時間が14.9時間との結果になるなど、20代から30代前半の残業時間は短い傾向となっている。
29.7%が昨年より残業時間が「減っている」と回答
「昨年と比較して残業時間は減っているか」聞いたところ、回答者の29.7%が「大きく減っている」(11.4%)もしくは「多少は減っている」(18.3%)と回答。
さらに「大きく減っている」「多少は減っている」と答えた2,862人のうち、1,100人に対し残業が減ったことのメリットを聞いたところ、「身体を休めることができるようになった」と答えた人がそのうちの44.5%でトップ。「趣味や娯楽を楽しむ時間ができた」(39.0%),「家族や友人と過ごす時間が増えた」(35.2%)との回答がそれに続いた。
一方デメリットについては「収入(残業代)が減って困っている」(44.4%)との回答がもっとも多く、「特にない・分からない」(27.1%)、「業務に遅れが出ている」(17.6%)が続いた。
昨年と比べ残業時間が「変わらない」と答えた人の72%は、生産性を高めるための取り組みを「行ったことがない」が「やり方がわからない」
次に昨年と比較して残業時間が「変わらない」と答えた5,369人のうち1,100人に対して、生産性を高めるための何がしかの取り組みを行ったか聞いた。結果、「ある」と答えたのはそのうちの28.0%だった。残業時間か「減った」と答えた人に同様の質問をして、「ある」と回答した34.2%と比べると、6.2ポイント低い結果となっている。
なお、残業時間が「変わらない」と答えた1,100人のうち、生産性を高めるための何がしかの取り組みを行ったかの回答で「ある」と答えなかった残りの72%は、なんらかの取り組みを行ったことが「ない」もしくは「分からない」と答えた。
<参照元>
エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」調べ