WOMマーケティング協議会(以下、WOMJ)は、一般消費者や広告主を対象として近年増加しているインフルエンサーマーケティングに関する実態調査を実施した。

その結果、企業からの依頼であることを隠したインフルエンサーマーケティング、いわゆる「ステマ」については、5割以上が不快に感じること、一部の世代を中心にインフルエンサーマーケティングの効果が特に高い一方で、取り組む企業が少ないとの結果が出た。

なお、今回の調査概要は以下のとおり

▽一般向け調査

  • 対象:10代~40代男女、ソーシャルメディア利用者、エリアは全国
  • サンプル数:男性10・20代119s、男性30・40代116s、女性10・20代133s、女性30・40代118s、合計486s
  • 調査日時:2018年9月
  • 実査方法:ネットリサーチ

▽広告主向け調査

  • 対象:広告主企業(ウェブ広告研究会加盟社)
  • 調査方法:ウェブ広告研究会様を通じた調査(リサーチはネットリサーチ)
  • 無記名による回答
  • 回収サンプル:37s
  • 調査日時:2018年7月13日(金)~8月14日(火)

10~20代の女性は広告よりインフルエンサーからの紹介の方が「信頼できる」「参考になる」と回答

この調査では、広告とインフルエンサーの紹介のどちらの方がより「信頼できる」「購買の参考になる」「買ってみたい」かを聞いた。その結果、より若い世代の方がインフルエンサーの紹介の方が「信頼できる」「購買の参考になる」「買ってみたい」と感じる傾向がみられる。

なかでも10~20代の女性に関しては、広告よりインフルエンサーの紹介をはるかに高く評価する傾向にあるとの結果が出た。全ての項目において、インフルエンサーの紹介の方が多くの回答を集めている。

WOMJでは、女性10・20代はSNS利用が活発な層で実際にSNS利用の頻度が高い人の方がインフルエンサーからの紹介を広告より高く評価する傾向にあり、SNS利用頻度の高さとインフルエンサーからの紹介を高く評価する態度には相関がありそうだと見解を示している。その上で、SNSの利用がさらに広がることによって、インフルエンサーからの紹介がほかの年齢層にも強い影響を与えるようになる可能性が高いと推測している。

企業の依頼であることを隠した商品やブランドの紹介は5割以上が不快に感じる

この調査では、インフルエンサーが企業の依頼であることを隠して紹介する場合、明らかにして紹介する場合それぞれの印象についても聞いている。その結果、全体の51.9%が企業の依頼を隠して紹介するいわゆる”ステマ”に不快感をしめした。ステマが「裏切られた感じがする」との回答も28.6%に上った。また企業の依頼かどうかわからない場合い紹介については、29.8%が「わざとらしく感じる」と回答している。

一方で企業からの依頼であることを明らかにした場合は、「とても良いことだと感じる(29.8%)」「良い情報を教えてくれてありがたい(24.1%)」「商品やブランドに興味を持つ(23.5%)」などポジティブな回答が多く集まった。

有名人が企業の依頼を隠して商品やブランドの紹介をした場合、より問題が大きい

次に企業の依頼を隠した商品やブランドの紹介について、インフルエンサーのタイプ別で印象が異なるかも聞いた。結果、「とても問題があり許せない」「とても問題がある」との回答が「有名芸能人やモデル(計50.4%)」や「読者モデル(計45.9%)」などを中心に多く集まった。(「一般の人」では、「とても問題があり許せない」「とても問題がある」両方あわせて29.8%と3割に満たない。)

この結果を受けWOMJでは、社会的に影響力のある人の方が一般人と比較して、企業からの依頼を隠した紹介について問題と感じられる可能性が高く、そのような投稿では一般人より有名芸能人・モデルの方が受けての許せないという感情を引き起こし炎上につながりやすいと考えられるとの見解を示している。

インフルエンサーマーケティングに取り組む企業はまだ少ない

今回の調査では、10~20代女性など若い世代を中心として、広告よりもインフルエンサーの宣伝の影響力が大きいとの結果がでた。

一方で広告主サイドでみてみると、「インフルエンサーやブロガーを活用したコミュニケーション」を過去1年以内に実施したという企業は全体の35%、「ユーチューバーなどのネット動画出演者の活用」では全体の16%と、まだインフルエンサーマーケティングが広がっていないことがわかった。またインフルエンサーマーケティングを「とても重要」と感じているかについては、「インフルエンサーやブロガーを活用したコミュニケーション」では8%、「ユーチューバーなどのネット動画出演者の活用」では3%とそれぞれ1割にも及んでおらず、「重要なマーケティング手段と認識しているケースも少ないようだ」とWOMJは見解を示している。

img:PR Wire