NTTドコモとドコモ・バイクシェアは、自転車シェアリングサービスにおける自転車再配置作業の最適化をめざす実証実験を11月26日から千代田区、港区、新宿区において開始することを発表した。

この実験では、ドコモのモバイル空間統計(R)のリアルタイム版である「近未来人数予測(R)」(人口統計データ)と、ドコモ・バイクシェアの自転車利用実績データ(実績データ)などをもとに、ドコモが開発した深層学習技術によるAIを用いて再配置計画の最適化を行う「シェアリング交通需要予測技術」が活用される。

AIで再配置計画を最適化する「シェアリング交通需要予測技術」


「シェアリング交通需要予測技術」は、人口統計データや実績データに加え、気象データ、周辺施設(POI)データなどを組み合わせ、深層学習などのAI技術を適用することで自転車の貸出・返却需要を予測するシェアリング交通需要予測モデルを作成する。そして、その時点から12時間後までの1時間ごとにおける各サイクルポートの利用可能自転車台数を予測する。

また、その予測情報とサイクルポートのラック数などの制約事項にもとづいて、自転車が設置されたラック数を大幅に超過しているサイクルポート、および利用可能な自転車がないサイクルポートの数を最小限に抑えるための再配置計画を、将来の利用動向を考慮して生成する。

実験では、再配置作業者に対しタブレット端末などで再配置計画を提示し、その内容にもとづいた再配置を実施することで自転車再配置業務の最適化を図るという。

将来的には、「シェアリング交通需要予測技術」の実用化により、提示された再配置計画によって、再配置作業者が効率的な再配置を実施することができ、利用者が自転車を利用したいときにサイクルポートに自転車がないという状況の改善を目指すという。

また、実験において予測情報や生成された再配置計画の正確性について、技術検証を行うことで「シェアリング交通需要予測技術」を確立し、将来的に他の地域での実績データを追加することで、さまざまなエリアでのサービス提供を目指す方針だ。

img:日経電子版