2018年11月5日、富士通はムービーウォーカーと、第31回東京国際映画祭において、生体情報による本人認証技術を活用したチケットレス入場に係る実証実験を実施したと発表。

実験は成功し、生体認証による強固なセキュリティによる認証手段により特定された本人に対して、対象となる映画・場所・時間に限定した電子チケットの発行・運用を確認することができたという。

スマホアプリで事前に自身の生体認証方式を登録。当日は手ぶらで入場

富士通は、キャッシュレス社会に向け、スムーズな個人の特定や個人とお金を結びつけることによる個人と場との新たな関係性の構築に取り組んでいるという。

特に、映画や舞台など劇場型の娯楽施設に向けては、チケット購入や順番待ちによる行列、飲食・グッズ購入時のわずらわしさを解消し、新たな利用者体験を創造するスマートシアター構想の実現を目指している。

今回、2018年10月25日から11月3日に開催された東京国際映画祭の中で、東京国際フォーラムで上映された一作品において、FIDOを活用したチケットレス入場の実証実験を行った。

実証内容は、実証実験への参加者に事前に配布したスマートフォンアプリで、参加者は、事前に自身の生体認証方式を登録。当日は登録した認証方式による本人認証後に配信される電子チケットを入場ゲートで係員に提示するだけで会場へのチケットレス入場を可能とした。

そして、この内容に基づく機能面での検証に加え、利用者の利便性やアプリケーションのユーザインターフェースの確認を実施。

その結果、生体認証による強固なセキュリティによる認証手段により特定された本人に対して、対象となる映画・場所・時間に限定した電子チケットの発行・運用を確認することができたという。

この実証結果により、チケット所持者と来場者の一致を確認できるため、転売・偽造防止といったセキュリティ向上が図れるとともに、チケットレスに伴う事業者の運営効率化に向けた課題事項を整理することができたとしている。

また、利用者視点においても、紙媒体のチケットを所持することなく、シンプルなアプリケーション操作により容易に入場できることに加えて、将来的な、当日チケットや劇場内での飲食物の購入などの決済連動まで含めた手ぶらでのスムーズな劇場体験に対するニーズを確認することができたという。

今後AI・IoTなど先端技術と組み合わせ新たな技術の創造を

今後富士通では、今回の実証結果を踏まえ、セキュアなチケットレス、キャッシュレス環境の整備を進めるとともに、AI・IoT・ビッグデータといった先端技術と組み合わせることにより、季節、時間帯など消費者の需給状況に応じて動的に価格を変動する手法であるダイナミックプライシングやユニークなデジタルプレミアムの付与など、新たな技術の創造を目指す方針だ。

img:Fujitsu Japan