富士通は10月29日、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が行う、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」を利用した資金決済システムへのブロックチェーン技術の活用可能性を探る実証実験について、アプリケーション開発ベンダーとして採用されることが決定したと発表した。
この実証実験では、理事銀行の参加のもと銀行間資金決済専用のデジタル通貨(決済用デジタル通貨)を用い、小口取引を対象とした個々の支払指図を一件ごとにグロスで決済する仕組みである即時決済(RTGS)方式による、経済効率の高い新たな銀行間資金決済の仕組みに係る機能検証を行うとともに、ブロックチェーン技術の有用性について確認する。
P2P送金プラットフォームを活用。他行宛送金取引の発生を狙う
富士通は、実証実験のICT基盤である新銀行間決済プラットフォームをブロックチェーンによって構築・提供を行う。
それとともに2017年度にメガバンク3行と開発を行ったP2P送金プラットフォームを活用し、銀行間資金決済の先駆けとなる他行宛送金取引を発生させることで、実証実験のサポートを実施する。
実施体制は以下のとおり。
- 実施主体
一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク - 参加銀行
全銀ネット理事銀行9行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、常陽銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行、三井住友信託銀行、京葉銀行) - アプリケーション開発ベンダー
富士通 - 実施目的
ブロックチェーン技術を活用した新たな他行宛の送金取引によって発生する銀行間の債権債務を、銀行間決済によって解消することであるセトルメントの仕組みとして、決済用デジタル通貨の機能検証を行う。
さらに、ブロックチェーン技術を採用した場合の非機能面(性能・セキュリティなど)について検証を行い、技術の有用性確認を行う。 - 検証スコープ
新銀行間決済プラットフォーム上において「決済用デジタル通貨を用いた価値移転・銀行間決済の仕組み(決済用デジタル通貨の発行・流通・回収)」を確認する。 - 実施内容
決済用デジタル通貨の発行・流通・回収について、以下のフローによる検証を行う。 - 発行
各銀行からの申請に基づき、全銀ネットが各銀行向けの決済用デジタル通貨を新銀行間決済プラットフォーム上で発行。 - 流通
銀行間資金決済の必要性が発生した都度(今回はP2P送金プラットフォームを利用)、新銀行間決済プラットフォーム上で、仕向銀行の決済用デジタル通貨を被仕向銀行に価値移転させることでセトルメント(銀行間決済)を実施。 - 回収
各銀行からの申請に基づき、全銀ネットが各銀行向けに発行した決済用デジタル通貨を新銀行間決済プラットフォーム上で回収する。 - 実施環境
全銀協「ブロックチェーン連携プラットフォーム」において、富士通が提供する実験環境を使用する。
富士通はこの実証実験を行い、先端技術を活用した新たなプラットフォームの確立を目指す方針だとしている。
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