日本経済新聞社(日経)は2018年10月29日、三菱UFJ国際投信と共同で、AIを使い、主に日本経済新聞の記事から金融市場に影響を与えた要因を自動的に抽出、当該記事の要約文を作成する機能を来春をめどに開発すると発表した。

この機能は、投資信託のレポーティング業務への活用や、投資の判断材料として利用するなど、幅広い分野への応用を見込んでいるという。

日経開発のAI「日経Deep Ocean」を活用した共同開発

この開発では、日経は自社で開発したAI「日経Deep Ocean」を使い、記事データから金融市場の変動要因を分析し、関連する記事を抽出する。抽出した記事をもとに要約文を作成する機能を2社で共同開発する。

「日経Deep Ocean」は日経の先端技術の開発組織「日経イノベーション・ラボ」とグループ子会社の金融工学研究所が共同開発した金融・経済分野の情報提供サービスだ。

AIを活用し、日本経済新聞の朝・夕刊や日経産業新聞などの記事情報や数値情報から、人間の目では気づきにくいトレンドの変化や転換点を見出す、金融や経済の分析に役立つツールである。

その際、三菱UFJ国際投信の持つ研究成果を活用し、作成した要約文は三菱UFJ国際投信が業務で利用することの有用性を検証する方針だ。

投資信託業界ではこれまで、運用担当者が投資判断に専念できるようにするため、ファンドのレポーティング業務などの負担軽減が課題のひとつとされてきた。

日経では、将来的にこの機能を応用すれば、運用担当者の業務の効率化が期待できるほか、過去の市場変動要因を容易に把握できることから、投資判断の選択肢が広がる可能性があると見込んでいる。

一方、三菱UFJ国際投信はこれまで、経済テキストから市況分析コメントを自動作成する機能について、成蹊大学の酒井研究室や東京大学の和泉・坂地研究室と論文を発表するなど基礎研究を重ねてきた。

今後は、これらの研究成果をベースに、両社が共同開発を進めていく方針だ。

img:PR TIMES