1990年に50代だった日本の農業就業者の平均年齢は現在66才を超えた。農業就業人口は同期間で480万人から200万人前後まで減少し、現在の日本の農業は農薬散布作業の省力化・効率化が強く求められている。
そこで、近年期待されているのがドローンによる農薬散布作業だ。
ヤマハ発動機は、1回のフライトで1ヘクタールの連続散布と、同社産業用無人ヘリコプターに匹敵する高い散布品質を実現する農業用ドローン「YMR-08」を2019年3月から発売する。
また、ドローンによる農薬散布のためスクール「ヤマハマルチローターアカデミー」を11月より開講する。
狙い通りの農薬散布をドローンが実現
同社は1988年に、薬剤散布に用いる無人ヘリの発売を開始し、2017年末時点の国内における同社の無人ヘリの保有台数は2,700機を超えている。
昨年の無人ヘリによる薬剤散布は年間延べ面積100万ヘクタールを超え、国内水稲作付面積の40%以上をカバーしているという。
YMR-08の主な特徴は、以下のとおり。
- 農薬を、作物の根本まで届けるダウンウォッシュ(下降気流)性能
- オペレーター操作の負担軽減と、散布精度の均一化を目的とした3種類のフライトモード選択機能
- 国内メーカーと専用開発した高い安全性を誇るメイド・イン・ジャパン品質のバッテリーとモーター
- スピーディーな作業と高い安全性を持ったカートリッジ式のバッテリー
- フューエルセーフ思想に基づく安全を最優先したカーボン製ハイブリットローター
- 作業車に簡単に積み込むことができる可搬性に優れた折りたたみ式のコンパクトな機体設計
- 造形美と機能美が融合した所有する喜びを感じられる機体デザイン
また、農薬散布のためのドローンスクール「ヤマハマルチローターアカデミー」を開講する。
これは、散布産業用無人ヘリコプター教習「ヤマハスカイテックアカデミー」で培ったノウハウを活かし、効率的な農薬散布のポイント、安全な操作など、農業の現場で即戦力となる教習を提供する。
このアカデミーを受講し修了検定に合格すると、一般社団法人農林水産航空協会が交付する「産業用マルチローターオペレーター技能認定証」を取得することができるという。
「ヤマハマルチローターアカデミー」の特徴は以下のとおり。
- 30年を超える産業用無人ヘリによる散布実績に基づく実践的な教習(学科/実技)
- 効率のよい学習ができるEラーニング制度
- より多くの疑似体験ができる専用シミュレーター実技講習(ヤマハ独自開発)
- 全国25カ所での開講
進む農業でのドローン活用
各分野でドローンの活用が進んでいるが、特に農業での期待は大きい。
高齢化が著しい農業分野での今後の展開はどんなものになっていくのか、注目したいところだ。
img:ヤマハ発動機株式会社