日本人の平均寿命がのびるにつれ、中小企業の経営者の高齢化も進んでいる。
経済産業省の「中小企業・小規模事業者政策について」によると、2025年には6割以上(約245万人)が定年時期を迎え、その約半数にあたる約127万社の後継者が決まっていないといわれている。
また、廃業する会社のおおよそ半数が経常黒字であり、このような状況が続くと、2025年までに累計で約22兆円の国内総生産(GDP)と約650万人の雇用が失われると予測されている。
このような状況の解決策の一つとして、第三者への事業承継である「M&A」(事業承継型M&A)の活用が期待されている。
中小企業の事業承継型M&Aの促進を阻害する要因として、中小企業経営者を主導的にサポートする専門家が不足していることが挙げられている。
専門的な知識を持ち、かつ、対象企業の内情を把握している顧問税理士や公認会計士が、サポート役としてもっとも適しているといえる。
しかしながら、多くの税理士は事業承継型M&Aに関して、これまで実務の経験が少なく、専門外の業務も多く含まれるため、積極的に関与しきれていないケースが多く見受けられるという。
税務研究会は、この中小企業の後継者不足問題を解決するための情報プラットフォーム「ZEIKEN LINKS(ゼイケン リンクス)」β版をリリースした。
事業承継やM&Aに携わる人に「学びの機会」を提供
「ZEIKEN LINKS」β版は、年間約800回以上の税務会計の実務ライブセミナーの開催実績(年間約56,000名の参加実績)のある税務研究会が運営する情報プラットフォームだ。
解説を担当するプロフェッショナルも、税務研究会にてライブセミナーの担当者が中心のため、信頼して利用できるという。
具体的には、事業承継やM&Aに携わる人に「学びの機会」を提供する。事業承継やM&Aに関するプロフェッショナルによる解説動画や解説Q&Aを閲覧できる。そして、新しいコンテンツが定期的にアップされるため、継続的に学ぶことができる。
また、事業承継やM&Aに関する悩みをシェア、各分野のプロフェッショナルの視点を参考にユーザーが抱えている課題や疑問を自由に投稿することができる。
投稿された課題や疑問は、サイト上にてシェアする。投稿された課題や疑問には、各分野のプロフェッショナルが解説する。独自の視点で解説もあるため、さまざまな角度から事業承継やM&Aに関する理解を深めることができるという。
ただし、投稿された課題や疑問の中で特に利用者に共有すべきものは、プロフェッショナルの解説と併せて、匿名でサイト内にて利用者にシェアする。また、すべての投稿に回答を約束するサービスではない。
M&Aに関してもっとも大切な情報の漏洩を防ぐこと
高齢化の問題は、事業継承にまで及んでいる。
このため、冒頭でも述べたが政府は、事業承継型M&Aの促進を進めているが、中小企業庁の「事業引継ぎガイドライン~M&A等を活用した事業承継の手続き~」によると、「M&Aに関してもっとも大切なことは、秘密を厳守し、情報の漏洩を防ぐことである。
外部はもちろん、親戚や友人、社内の役員・従業員に対しても知らせる時期や内容には十分注意する必要がある。経営者の不用意な一言でM&Aが頓挫してしまうケースも見受けられる」と提言している。
税務研究会は、1946年4月に「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設された老舗企業だ。
その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しているという。果たして今回の「ZEIKEN LINKS」が、この問題にどこまで寄与するか注目したい。
img:PR TIMES