一般的に広まってきた「副業」という用語。
しかし、実際に副業している人や、それを仲介しているサービスについて、俯瞰できる情報はまだまだ少ない。
今回、副業したい人と企業をつなげるサービス「シューマツワーカー」を運営するシューマツワーカーは、2018年版「副業サービス カオスマップ」を公開した。
カラフルな相関図から、副業市場の現状をみてみたい。
「副業サービス カオスマップ」に見る、副業市場の傾向
前年のマップと比較すると、副業サービスの数は目まぐるしく増えている。
背景には、働き方改革によって副業市場に対する注目度が上がったことに加えて、人材不足のために企業の副業リソース活用が浸透し始めていることがあるとみられる。
特に、「副業社員型」と「営業型」のサービスが増加傾向にあり、逆に「クラウドソーシング」は微減している。“誰でもできる業務”よりも、“高いスキルや専門性”を活かした副業が求められる傾向があるようだ。
また、「週末モデル」や「プラナビ」といった“特定の領域”に特化したサービスも増えてきている。副業が広まっていくなかで、他との差別化をはかるサービスの増加がみて取れる。
シューマツワーカーでは副業したいユーザー数に対し、仕事を依頼する企業数がまだまだ少なく、適正なマッチングができていないことを課題にあげている。
副業が一般化し、副業サービスの多様化が進んでいるにもかかわらず、いまだに企業が一歩踏み出せないところにはどんな課題があるのだろうか。
副業に関する「意識」の現状
プロフェッショナルスキルで働きたい人材と、即戦力を求める企業を「副業」を通して繋ぐサービス「プロの副業」を運営するホールハートは、2018年3月、同社エージェントが直接会った113名に対して実施した、副業に関する意識調査結果を公開している。
それによると、「現在働いている会社では副業が認められているか」という問いに対して、36.3%が「認められている」と回答。2014年と比較すると2倍以上に達しているという。
この数から、確かに企業の意識は変化してきているといえそうだが、いまだ51.3%、半数以上の企業が「副業NG」という現状も示している。
一方で社員側はどうか。副業が認められていない企業の社員の77.6%が、「副業をしたい」と回答している。しかし実際、副業が認められている企業で「副業をしている」と回答した人は26.9%にとどまっている。
就業規則をクリアし、副業への関心や意欲があるにもかかわらず、実際に踏み出すには何かハードルがある。それを乗り越えるヒントが、調査で得られた具体的な「声」にありそうだ。
- 実際のまずは副業から経験と実績をつみ、ゆくゆくは起業につなげたい。(30代男性)
- 現在企業勤めだが、経営の感覚が磨けない。副業を通して個人事業主として仕事を行うことでそれを磨きたい。(40代男性)
- 東京にいながら、自身の地元を盛り上げ地方活性化につながるような仕事を行いたい。(20代男性)
- 自社ではなかなか学ぶチャンスがないような事を学び、社外で何が起きているかを実際に感じて本業でも活かせるようにしたい。(20代男性)
- 現在の会社で2年後に新規事業を立ち上げたい。まずはスモールスケールで自身で副業として行い、本業での事業立ち上げに活かしたい。(20代男性)
こうした声からは、彼らの求めるものはスキルアップや経験の蓄積、地域活性化など、「副業」に対して自己成長や社会貢献などのポジティブなものを求めていることが伝わってくる。
しかしながら、それに合致する副業がみつからない、もしくはその情報までたどり着けていないのが現状のようだ。
企業、社員ともに求める「副業の専門性」
副業、複業、パラレルワークなど、終身雇用にしばられない新しい働き方が登場してきて数年が経つ。
副業は、企業側から即戦力を求める声が高まってきていると同時に、働く側も本業のスキルアップや将来の起業に向けた経験として副業を活用しようという意識が高まってきている。
企業、社員、そしてそれをつなぐサービスの三者が同じ方向を向き始めたいま、副業という選択肢がもっと豊かで多様なものになる日は近いかもしれない。
img:PR TIMES