AIを本当に思い通りに使いこなせている企業や組織はどれくらいあるのだろうか。AIの利用について、さまざまな施策を検討している企業は多いはずだ。
SAS、アクセンチュア、インテル、フォーブス・インサイツによって、米国、ヨーロッパ、日本を含むアジア太平洋地域のビジネスリーダー305人を対象に、2018年7月にAIの活用に関して調査を行ったところ、AIの施用に先進的な企業はAIの責任ある利用を自社で徹底させるため、さまざまな対策を講じていることが明らかになった。
AI導入企業のうち70%が技術者向けの倫理研修を実施
まず調査からは、AIを導入している企業(調査対象企業の72%)のうち、70%が技術者向けの倫理研修を実施していることがわかった。
そして、63%がAIの利用状況を評価する倫理委員会を設置していることもわかった。
また、自社のAI導入について「成功している」または「非常に成功している」と回答したAI先進企業は、責任あるAI(Responsible AI)の取り組みにおいても他社に先行しているという。
AI先進企業の92%が「技術者向けの倫理研修を実施している」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では48%だった。
そして、AI先進企業は、アナリティクスとAI活用の密接な関連性についても認識しているという。AI先進企業の79%が「アナリティクスがAIの取り組みで主要もしくは中心的な役割を果たしている」と回答したのに対し、AI導入の効果が出ていない企業では14%に留まっている。
今回の調査では、AIは人の介在なしに動作すると考えられているにも関わらず、AI先進企業はAIの監視が不可欠であると考えていることがわかった。
AI先進企業の74%が「AIが生み出した成果を最低でも週に1回評価して、注意深く監視している」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では33%だった。
また、AI先進企業の43%が「評価時に疑わしいと判断された結果を補完もしくは無効化するプロセスが社内に存在する」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では28%だった。
企業の72%が1つもしくは複数の事業でAIを利用
その他の主な調査結果は以下のとおり。
- 調査対象企業の72%が、1つもしくは複数の事業でAIを利用している。
- AIを導入している企業の44%が、「AIの導入は間違いなく成功であった」と回答した。主な効果として、予測や意思決定の精度向上、顧客の獲得率向上、生産性向上などが挙がっている。
- AIを導入している企業の46%が、「複数の業務で全面的にAIを導入している」と回答した。
- 上級役職者以外の回答者は、AIの影響を前向きに捉える傾向がある。自社のAIの取り組みについて、上級役職者以外の回答者の55%が「成功している」もしくは「大いに成功している」と回答した一方、上級役職者では38%に留まっている。
- 多くの企業は、従業員がより高度な業務に従事できることをAI導入のメリットとして挙げている。企業の62%は、従業員が単純作業ではなく、より戦略的な業務に集中できるようになるという理由から、導入効果が「表れている」または「非常に表れている」と回答した。
- 一方、AI導入の課題として、調査した企業の約20%が「雇用が脅かされるという理由で、従業員の間に反対意見がある」と回答した。
また、従業員が脅威を感じたり、ストレスを受けたりするなど、従業員との関係に影響が生じる懸念について、57%が「懸念を感じている」または「強く懸念を感じている」と回答した。
AIを正しく人類のために使うには
インテルAIのデータサイエンス事業を統括するインイン・リュー氏は「AIによる意思決定が顧客との関係性に影響をおよぼす懸念がある」と述べている。
企業は、AIの判断内容に不備があれば悪影響が出ることを理解し、AIの倫理的な利用に向けて対策を講じ、AIを監視すべき時代になっているようだ。
img:PR TIMES