働く女性は、セカンドキャリアへ向けた学び直しについて、どう考えているのだろうか。
“セカンドキャリア”というと、男性であれば定年後や脱サラ後のキャリア、女性であれば出産や育児をへたあとの就職をさしていた。
“人生100年時代”をむかえた現代では、リカレント教育の必要性が意識され始めている。学校を卒業し社会人になってからも、生涯にわたって学び直しを行い、転職やキャリアアップへ繋げるライフスタイルへの転換が進む。
ここでは今を生きる働く女性の、学び直しに対する意識調査をみていきたい。
働く女性は、転職・副業をめざす学び直しも。勉強方法は“通信教育”で資格取得
2018年10月19日、ソフトブレーン・フィールドは、「働く女性の学び直し・リカレント教育に関する意識調査」の結果を発表した。
ソフトブレーン・フィールドは、全国の主婦を中心とした登録スタッフ約84,000名のネットワークを活用し、営業支援や市場調査を実施する企業。調査の期間は、2018年10月5日~11日。対象は同社に登録するキャスト会員で、有効回答数は658名(平均年齢47歳)だ。
調査では“学び直し”を「今の仕事や、今後就く仕事に関連する、スキルや経験などの蓄積を目的としたもの」、と定義している。
学び直しをしたいか、という問いに対しては、「したいと思う」が30.1%、「どちらかといえばしたいと思う」の35.9%と答えた。合わせると、66%に学び直しのニーズがあることがわかる。
また実際に、仕事をしながら学び直しをした「経験がある」と回答した人は、265名いた。
学び直しの経験がある人に対し、きっかけや理由をたずねたところ、「業務上必要になったから/今の業務のキャリアアップ」が42.3%でもっとも多かった。
4位には「就職・転職のため」(29.8%)、6位には「副業・兼業のため」が15.1%が入っている。柔軟な働き方を求めて、学び直しを実践した女性の存在が注目される。
学び直しのジャンルについての質問には、「資格の取得」が58.9%でもっとも多く半数を超えた。「語学力」19.2%、「OAスキル」15.1%がつづくものの、差が開いている。
学び直しの方法については、「通信教育」が26.0%でもっとも多く、「図書などを購入し独学で学んだ」が24.9%とつづいた。仕事をしながら、限られた時間で効率よく学べる勉強方法といえるだろう。一定の期間学校に通って学ぶ、というのは難しいのかもしれない。
それでは、学び直しの成果はどのようなものだったのだろうか。
学び直しは、自分の価値を高め人脈を広げる。パラレルキャリアにつながるケースも
学び直しが与えた影響についてたずねると、「仕事上とても役に立った」が44.2%でもっとも多かった。
- 「給与で資格手当てがつき、任せてもらえる業務が多くなった。(50代)」
- 「専門的な話しができるようになり、同じ業界の人達と話しを共有化できるようになった(50代)」
- 「語学留学で様々な国の友人と交流でき、それまでの固定観念が外れて心身ともに自由になれた。(40代)」
- 「年代の違う友人ができた(40代)」
2番目に多かったのが、「新たな世界が広がり、人生が豊かになった」で36.2%。
ほかにも「新たな仕事や職種につくことができた」が15.1%存在する。「幼稚園教諭をしながら、ピアノやオルガン講師の資格を取得し、60歳まで音楽教室講師をすることができた(60代)」など、学び直しがキャリアチェンジやパラレルキャリアにつながるケースもあるようだ。
学び直しをしてよかったか、という問いには「とてもよかった」が56.2%、「ややよかった」の31.7%と合わせると9割近くがよかったと感じている。
学び直しやリカレント教育は、変化する社会の要請ともいえる。
会社の制度や支援などが必要だと考えるか、という質問に対しては「とても思う」が38.3%、「やや思う」の40.1%という結果になった。合わせると、約8割近くが「必要である」と考えている。
働く女性の学び直しに、必要なものは何か
調査を行ったソフトブレーン・フィールドは、女性に「年齢・時間・場所の制約がない柔軟な働き方」を提供することを目標としている。
国連による2030年までの国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」にそった、企業および働く人にとって、無理・無駄なく、持続可能な働き方こそ、企業の生産性が向上し、本当の働き方改革の推進につながる、という考えかただ。
調査では、学び直しに対して会社の制度や支援が必要、という声が多かった。
一方で、「企業はいろいろなことをサポートする必要はない。ただ、学ぶための時間については、必要以上に拘束することなく、休みはきちんと与えるべき。時間さえあれば、やりたい人は自ら上手に時間を使う。(40代)」という声も出ていた。
勉強方法についても、限られた時間を有効に使う通信教育の利用が多い。まとまった時間を使って学校に通えるような環境作りが、社会や企業に求められていくのかもしれない。
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