標高3,000mのマッターホルンの3D空撮をドローンで成功。留まるところを知らないドローンの進化

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ドローンの活用の広がりとともに、その市場も右肩上がりに拡大している。インプレス総合研究所が3月に発表した『ドローンビジネス調査報告書2018』によると、2017年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は前年比42%増の503億円と推測され、2018年度には前年比71%増の860億円に拡大し、2024年度には3,711億円に達すると予想している。

また、サービス分野では、農薬散布や空撮、土木測量、ソーラーパネルなどの設備点検などに活用が広がっているという。そして、ドローンと3D技術を融合した空撮の試みが登場した。

ドローン関連コンテンツの企画、開発、運営を行うドローンネットは、日本初の試みとなる標高3,000mのスイスの山脈で、ドローンを使って崖を丸ごと3Dスキャンすることに成功したと発表した。

マッターホルンの空撮・3Dスキャン撮影に成功


World Scan Project swiss 1 DTW

同社は、『ドローンと共存する未来社会を創ろう』をミッションとする、ドローンベンチャー企業だ。今回の空撮と3Dスキャンは、体験型SHOP&SCHOOLを展開する同社の「ドローン ザ ワールド」のプロジェクトの一環として行われたもの。

2018年6月にドローンネット社の撮影チーム2名が、主にスイスのマッターホルンを中心としたペンニネアルプス山脈の空撮・3Dスキャンに臨み、撮影に成功したという。標高3,000m以上、気温5℃のゴルナーグラートで、ドローンに高地用プロペラを付けて撮影を行った。

当日は雨で、撮影困難な状況が4日間ほど続いたが、一瞬の晴れ間にフライトさせ、雲の中から幻想的に顔を覗かせるアイガーを撮影した。

最終日には天気にも恵まれ、快晴のフィルストでは、巨大な崖を丸ごと3Dスキャンすることにも成功した。

これにより、飛行機やヘリコプターなどを使って大掛かりな航空測量をせずとも、ドローン1台でスキャンすることが可能となった。同社では、今後、全世界の有名な山々や素晴らしい地形をドローンでスキャン攻略していく予定だという。

ドローンによって恐竜が目の前に!?

このようなドローンの特性を生かした興味深い論文がある。オーストラリア・クイーンズランド大学の古生物研究者らが、2017年3月にドローンやレーザーを用いて、より精細かつ広範にデータを集める最新の方法を、科学ジャーナルサイトPeerJに論文を寄稿した。

この論文によると、飛行機、ドローン、そして地上から写真やレーザーのデータを取得することで、発掘現場の3Dモデルを精細につくることができるという。そして、この3Dモデルから、これまでは把握することが難しかった情報まで読み取れるという。

たとえば、恐竜の種類やどのように移動していたのか、また恐竜の大きさや移動スピードなども推測することができるという。まるで、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジュラシック・パーク」さながらだ。

実際、ドローンによって2018年4月にスコットランド・スカイ島で大型恐竜の化石が発見されている。発見されたのは竜脚下目という大型の草食恐竜の化石で、発掘場所には断崖絶壁の崖が多くドローンの力が存分に発揮されたという。

ドローンの歴史に新たな1ページを記す

ドローンの最大のメリットはこれまで、計測や撮影が困難だった場所での活動が簡単に行えるという点だ。

今回のプロジェクトはそれに3D技術を融合し、よりリアルな空撮を実現したというものだ。世界中の山岳の地形データが取得されることは登山家にとっても有益な情報となるだろう。今後、山岳部だけではなく、人による情報解析が難しい場所でドローンによる空撮が行われることにより、多くの新たな発見が人類にもたらされるかもしれない。

img:PR TIMES

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