コンビニやスーパー、さらには自販機に至るまで、キャッシュレスで決済できる機会は広がり、その決済手段も多様化している。
現在利用している決済方法が、自分にとって最適なのか、きちんと考えたことがある人は少ないのではないだろうか。実際にどれだけの決済サービスがあって、それらの決済はどの程度利用されているのか気になるところだ。
決済診断「AI-Credit」、決済サービス業界カオスマップ2018年版を発表
「キャッシュレス・ビジョン」の策定など経済産業省がキャッシュレスを推進する中、2018年は楽天Pay・LINE Payのようなコード決済をはじめとした「現金で支払わない」決済サービスが数多くリリースされている。一方で既存の決済サービスに関しては、金融機関との連携を深めることで、消費者に対する利便性を高めている。
消費者の1人として、現金以外にもいくつかの決済手段を利用しているものの、周りにどんな決済サービスがあるのか全て把握しているとは言い難い。実際どのくらいの決済サービスが世の中に存在しているか、どれが本当にお得なのか、しっかり把握している人は少ないのではないだろうか。
そんな中、ライフスタイルに合った決済選びを診断・提案する「AI-Credit」では、キャッシュレス社会を促進する決済サービスをまとめた「カオスマップ2018年版」を発表した。これをみると数多くの決済サービスが乱立していることがわかる。
消費者としては選択肢が多いのは歓迎すべきことではあるが、こうして1枚のマップにまとまった多様な決済サービスの種類を見渡してみると、その種類の多さから一個人が自分にあった最適な決済手段を選択するのは困難なように思われる。AI-Creditのような診断サービスは、確かにそんなときに役立つだろう。
決済サービス普及の鍵は共通ポイントと決済方法が可能な店舗の広がりや周知
決済サービスが多数登場し、大手を中心として利用できる店舗が増えているものの、まだ普及しきってはいないようだ。経済産業省が2017年8月に公開した「キャッシュレスの現状と推進」によれば、日本のキャッシュレス決済の比率は18%で、海外諸国(アメリカ41%、中国55%、韓国54%)と比較すると著しく低い。
AI-Creditは、スマートフォン決済・カード決済といった決済サービスが普及する鍵として共通ポイントをあげている。自社のポイントだけでは集客を見込めない場合でも、共通ポイントを導入することによって来店を促すことができる。
くわえて決済サービスが浸透しきっておらず、現金でしか支払いができない機会が多いことも、AI-Creditでは普及を妨げている原因に挙げている。実際、楽天Paly・LINE Payなどのコード決済ができる店舗は、現時点では限定されてしまっている。
一方、コード決済と比べれば電子マネーやクレジットカードが利用できる店舗は多いものの、それらに関してもまだ十分に普及しているとは言い難い。結果、どの店舗でどの決済方法が利用できるか、消費者は把握することもできていない。
確かに共通ポイントによってキャッシュレス決済がお得であるとの認識が広がり、キャッシュレス決済が可能な店舗が広がれば、日本のキャッシュレス決済の比率も上がるだろう。
日本人はお得なことが大好きで、紙のポイントカードを何枚も財布に入れ携帯している人は多い。電子マネーを扱う近隣の大手ショッピングセンターでは、ポイント獲得のために電子マネーの購入や電子マネーによる買い物をする主婦や老人の姿をみる機会も増えて来ている。ポイントアップのキャンペーンを頻繁に行うなどして、お得さをアピールできていることが要因のようだ。
コード決済は現時点で広く利用されているとは言い難い
最近、テレビCMなどでも頻繁に宣伝されているコード決済であるが、実際にはどの程度普及しているものだろうか。ここでは、上述のAI-Creditの運営元であるリエールファクトリー株式会社が2018年7月に行った独自調査の結果を簡単に紹介したい。
まずコード決済の認知度に関してはApple Pay(68.3%)・楽天Pay(65.1%)、LINE Pay(59.7%)と、それぞれ比較的高くなっている。一方で「利用したことのあるサービス・支払い方法」となると、Apple Pay(5.9%)・楽天Pay(12.9%)、LINE Pay(5.9%)と低い水準でとどまっている。認知度と利用率には大きな乖離があるようだ。
この調査では、「今よりお得になるクレジットカードがあれば知りたいですか?」という問いに対し、39.8%が「知りたい」と回答している。クレジットカード・コード決済両方のお得を受けることができれば、コード決済は今より広がるだろう。
日本のキャッシュレス決済が進むのはこれからか
国の推進もあって、国内では多様な決済サービスが登場し、互いにしのぎを削っている。一方で日本のキャッシュレス決済の比率は全体の18%と広がっているとはいえない。
ただし現金での決済と比べて大幅にお得になることがアピールでき、キャッシュレス決済可能な店舗が増えれば、自ずとこの比率は高まっていくことだろう。
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