タクシーを降車する際に、あいにく万札しかなく支払いに困ったり、後ろで他の車が待っているなかで慌てて小銭を集めて支払いをすませたり、といった経験を持つ人は多いのではないだろうか。
クレジットカードやSuicaなどの電子マネーで決済が可能なタクシーも増えているが、今後はアプリでより便利に決済がすませられるようになりそうだ。
都内タクシーのキャッシュレス化がすすむ
JapanTaxi株式会社(以下、JapanTaxi)は、自社で運営する日本最大のタクシー配車アプリ「JapanTaxi」において、提携する帝都自動車交通株式会社(都内1,057台)が2018年10月1日(月)から、「JapanTaxi」アプリでの決済に対応する上、全車両でQRコード決済が可能な「広告タブレット」を設置、サービスを開始すると発表した。
広告タブレットは2018年7月より全国展開しているが、東京都内で日本交通グループ以外へ設置するのは初とのことだ
JapanTaxiでは、タクシーのキャッシャレス化を促進している。今回、帝都自動車交通が対応することで、広告タブレット設置車両は、東京都内において4,527台から5,584台に増加するという。都内でのタクシー利用がますます便利になりそうだ。
アプリで配車・キャッシュレス降車まですませる「ネット決済」とは?
スマホアプリ「JapanTaxi」にクレジットカードを登録しておくことで、アプリで配車を依頼する際にネット決済が選択できるようになる。
これによって目的地到着時に、支払いのやり取りをすることなしに降車することが可能だ。明細書もウェブ上で発行できる。
対応する決済方法は以下のとおり。
- Visa
- MasterCard
- JCB
- American Express
- DinersClub INTERNATIONAL
- Google Pay
- Yahoo!ウォレット
なおデビットカードは登録できず、帝都自動車交通ではApple Payでのネット決済に対応していないとのこと。
アプリでの配車なら、道端でタクシーを待つ時間を減らすことができる。しかも決済まですませられるのだから、ユーザーとしては非常に便利だ。
アプリでの配車でなくてもキャッシャレス降車が可能な「広告タブレット」とは?
アプリのみで決済が可能なのは、アプリで配車を依頼した場合になり、タクシー乗り場や道端でタクシーをつかまえた際の決済には対応していない。
しかし後部座席に広告タブレットを搭載した車両であれば、タブレットに表示されるバーコードをアプリで読み取ることで、アプリによる配車でなくてもアプリを用いたネット決済が可能となる。
広告タブレットを利用すれば、目的地に到着する前に支払いをすませておくこともでき、降車がスムーズになる。
しかも広告タブレットは、日本語以外に、英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)にも対応しているため、増え続ける訪日外国人観光客にも喜ばれるだろう。
タクシーキャッシュレス化の全国展開へ
2011年12月にサービスを開始したタクシー配車アプリ「JapanTaxi」は、2018年8月時点でシリーズ累計ダウンロード数が550万を超える日本最大のタクシー配車アプリだ。全国47都道府県・約70,000台(全国のタクシー台数の約3割)をネットワークし、日本全国でスマホからタクシーを呼ぶことが可能だ。
グループ会社の日本交通株式会社へのタクシー配車リクエストは、現在その7割がアプリ経由となり、電話でなくアプリでの配車がスタンダードとなっている。さらに配車と同時に行われるネット決済の利用数も、2013年8月のサービス開始から2018年5月の時点で300万回を超えている。
一方、道端やタクシー乗り場でタクシーをつかまえる際にもネット決済が可能な広告タブレットは2016年6月より展開を開始。これまで広告タブレットが導入済となっているのは都内4,500台の車両にとどまっていたものの、利用回数は60万回をこえ約7割のユーザーがリピートしているとのこと。
2018年7月からは徐々に全国展開をすすめ、東京オリンピックが開催される2020年までには全国合計5万台(タクシー車両の4台に1台の割合)での広告タブレット搭載を目指すとのことだ。観光などで郊外でタクシーを利用する際にも便利だ。訪日外国人の満足度向上にもつながりそうだ。
なおネット決済機能は、顧客の乗車体験向上だけでなく乗務員の業務改善にもつながるという。
乗務員は決済対応の必要がなくなる上に、決済は英語・中国語・韓国語に対応しており外国人顧客とのやり取りに困らなくなる。これによって安全な運行に今まで以上に注力できるようになるとのことだ。
現金を持たずに出かける時代へタクシーが対応するために
振り返って考えてみると、タクシーのキャッシュレス決済対応は他の交通手段と比べて遅れている。電車やバスといった公共交通機関では、よほど郊外でなければSuicaなどの電子マネーで決済できない例は少ない。
たいしてタクシーではクレジットカードや電子マネーでの決済に対応すらしていない車両も多い。また仮に対応していても、改札などへのタッチだけですむ電車・バスと比べて、乗務員の事前操作が加わるタクシーの方が決済に時間がかかってしまう。
ここでキャッシュレス決済、なおかつ降車前の広告タブレットによる事前決済に対応するタクシー車両が増えれば、電車やバスより決済の面ではタクシーの方がさらに便利となる。
今やコンビニやスーパーでも、キャッシュレスで買い物できる店舗がどんどん増えている。キャッシュレスが当たり前となる時代において、キャッシュレス化・ネット決済化はタクシーの満足度を維持・向上するためにも必須といえるだろう。
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