近年、「生体認証」が注目を集めている。
これは、人の指紋や顔による認証を行うことで、従来の暗証番号やカードを使用する認証とは異なり、記憶したり持ち歩き不要になり、盗難や紛失の心配がない。さらには偽造が困難であることが特徴である。
指紋認証や顔認証を搭載したスマートフォン端末が普及しはじめ、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の本人確認に顔認証システムが採用されたりなど、われわれの身近な存在となりつつある。
この生体認証の一つに虹彩認証がある。これは、人間の瞳の虹彩の特徴を利用して、個人を特定するという技術である。
株式会社スワローインキュベートは、パナソニック株式会社の特許を活用した「虹彩認証SDK」を自社開発し提供を開始した。
理論上“最もセキュアな生体認証技術”は「虹彩認証」
同社によると、「生体認証」のなかでも、「虹彩認証」は理論上「最もセキュアな生体認証技術」であるとされているという。
また、他の生体認証と比べて経年変化がなく、タッチレスな認証を実現できることも大きな魅力だという。
「虹彩認証」は、過去に国内で研究されていたこともあるが、研究者の確保やコストの問題等が立ちはだかり、結局は研究を存続できずに日の目をみることはなかった。
今回、株式会社スワローインキュベートは、パナソニック株式会社が特許として権利化したものや研究成果を活用し、最新のテクノロジーを駆使した。
これにより、さまざまなエンジンやアプリケーションなどに組み込んで「虹彩認証機能」搭載製品を開発できる「国産虹彩認証SDK」の開発に成功し、ライセンス提供を開始した。
現在、複数社にて導入実証を進めており、近日「導入事例」として公開予定だという。
理論上「最もセキュアな生体認証技術」な「虹彩認証」
「SDK」とは、「Software Development Kit」の略で、「開発キット」のことであり、「虹彩認証SDK」は、同社の「虹彩認証エンジン」を「SDK化」したものだという。
「虹彩認証SDK」の特徴は以下のとおり。
- 日本初の「国産 虹彩認証SDK」
これまで外国産に頼らざるを得なかった「虹彩認証技術」を自社開発し、「SDK」として日本で初めて提供する。 - 世界初の「瞳孔径マルチテンプレート方式」を実装(パナソニック特許活用)
世界初の「瞳孔径マルチテンプレート方式」を用いることで、虹彩認証において従来より課題となっていた「照度条件の異なる撮影環境」での認証精度の向上に成功した。 - 1秒未満の「高速な認証速度」
特許活用や独自の研究により、UX向上に欠かせない高速な認証速度を実現した。 - 他のエンジンやAI、IoTサービスなどと組み合わせ可能
「SDK」提供のため、他機能との組み合わせが自在である。今すでに製品化、もしくは開発中の製品やサービスにも「虹彩認証」を組み込むことが可能だという。 - さまざまな導入シーンで虹彩認証の利点を活かす
オフィス・工場・マンションなどの入退室管理セキュリティやコネクテッドカー・ATM空港・スマートフォンなどの各種IoT端末での本人認証。またPOSレジ・レジャー施設などの決済デバイスにも活用できる。
手袋やマスクを着用するような、従来の指紋認証や顔認証では難しい利用シーンにおいても「虹彩認証」なら導入可能だという。
情報セキュリティに不可欠な生体認証
先日、筆者が使用しているクレジットカード会社から一通の封書が来た。
そこには、「あなたの個人情報が流出した可能性があります・・・」と書いてあり、もちろんそれはその企業のミスであるため、お詫びとして500円の商品券が同封されていた。筆者は非常な怒りを覚えたものだ。
このように、現在、テクノロジーの進化ととも、個人データの流出、企業であれば企業情報の漏えい、など情報セキュリティについての新たな脅威にさらされている。
このため、より高いセキュリティを求めて「虹彩認証」をはじめ、生体認証は今後も発展していくだろう。
img:PR TIMES