2000年を迎えたあたりに成人・社会人となったミレニアル世代は、他の世代と異なる特徴をもつとよくいわれる。ITやデジタル技術に慣れ親しみ、新たな価値観を持つ彼らは、今後の社会の中心を担っていく世代でもある。
人と会話するよりスマートフォンの画面とにらめっこする時間が長く、情報検索や動画視聴、ゲームなどにいそしむ彼らは、より上の世代の目には軽薄にうつるかもしれない。
けれどお金に関しては、他の世代と比較しても堅実との調査結果がでている。
ミレニアル世代は他の世代より貯金意識が高い
インターネットリサーチ大手の株式会社マクロミルでは、2018年8月にミレニアル世代のお金事情に関する調査を行った。なお、この調査では以下のようにそれぞれの世代を分け比較している。
- ジェネレーションZ…15〜24歳(330名)
- ジェネレーションY…25〜38歳(340名)※ミレニアル世代
- ジェネレーションX…39〜53歳(330名)
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まず、自分のためのお金の使い道について聞いたところ、「外食・食費」「ファッション・美容・インテリア」といった項目の割合が多いのは他世代と同じ傾向だった。
たいして「投資・貯金」については、他の2つの世代が約45%となったところ、ミレニアル世代は60%と他の世代より15%も多く特徴的な結果となった。
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くわえて「投資・貯金」の内容をみると、貯金との回答が半数以上の約55%を占め、他の世代と比較して格段にその割合が多いことがわかる。ミレニアル世代は、お金に関しては堅実なようだ。
ミレニアル世代の平均的な貯金額は25,996円で上の世代より多い
同調査ではミレニアル世代のお財布事情を知るために、複数の項目の平均額について聞いた。それぞれの項目に関する1カ月当たりの平均金額は以下のとおり。
- 貯金額:25,996円
- 自由に使える金額:27,148円
- プライベートで使う金額:は22,746円
- 財布に入っている金額:10,276円
- 電子マネーにチャージしている金額:3,218円
なかでも他の2つの世代と比較して特徴的なのは、貯金額が年上のジェネレーションX世代(39~53歳)と比較しても多いことだ。
▽貯金の平均額の比較
- ジェネレーションZ :15,992円
- ジェネレーションY(ミレニアル世代):25,996円
- ジェネレーションX :25,424円
社会的地位が上で収入も高いと想定されるジェネレーションX世代と比較しても貯金額がこのように高くなっているのは、注目すべき結果といえるだろう。ミレニアル世代は他の世代と比べて、お金に対して堅実という裏付けがここにも表れている。
ミレニアル世代の44%が投資・資産運用に興味があり、上の世代よりもその割合が多い
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貯金意識だけでなく投資や資産運用に関しても、ミレニアル世代は上の世代より興味を持っているようだ。
「投資・資産運用」に関する興味の度合いについて聞いたところ、「とても興味がある」「まあ興味がある」と回答した割合は、以下のとおりミレニアル世代が最も多かった。
- ジェネレーションZ :約35%
- ジェネレーションY(ミレニアル世代):約44%
- ジェネレーションX :約38%
少子高齢化などで将来に不安のある彼らは、お金を貯める・増やすといったことに高い関心をもっているようだ。
SNSに影響され買い物をするミレニアル世代は全体の約半数以上。特にInstagramの影響が強い
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買い物に対するSNSの情報の影響度に関して聴いたところ、ミレニアル世代の半数以上(「かなり影響を受ける」7%、「まあまあ影響を受ける」44%)が、買い物のときにSNSの情報に影響を受けていることがわかった。
これは上に引用した表にもあるように、上の世代より高く、ミレニアル世代と同等以上にデジタルを使いこなすジェネレーションZ世代よりも少ないという結果だ。
特にジェネレーションXとそれより下の世代を比較すると、SNSの情報に影響される度合いに大きな差があることがわかる。ミレニアル世代以下の年代では、SNSからの影響を受けやすいということだろう。
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なお、買い物の際に最も強く影響を受けるSNSは何か聞いたところ、ミレニアル世代の半数以上(55.5%)はInstagramと答え、他世代と比べても10%以上高い。「インスタ映え」に最も影響されやすいのはミレニアル世代のようだ。
他の世代と異なるミレニアル世代の買い物の傾向とは
ミレニアル世代のお金事情に関しては、アメリカの金融サービス会社「Charles Schwab」が行った調査についても紹介したい。こちらの調査で、資産運用などのお金に関する計画を立てているか聞いたところ、ミレニアル世代の74%が「立てている」と答えた。
一方、X世代は62%、さらに上の団塊世代は58%が「計画を立てている」と答え、ミレニアル世代が最も資産運用に対する意識が高いという結果は、日本と同じだった。
一方、家や自動車を買い控える傾向のあるミレニアル世代は、タクシー・Uberをよく使う割合が、さらに上の世代と比較して以下のように格段に高かった。
- ミレニアル世代:53%
- X世代:29%
- 団塊世代:15%
高いお金を出して車を所有するより、必要なときにタクシーなどを便利に使うというのが、この世代のスタイルのようだ。
一方、最新のガジェット・必要ではない服に関しミレニアル世代は、以下のとおり他世代より「よく購入する」と回答した割合が高かった。
▽最新ガジェットを「よく購入する」と答えた割合
- ミレニアル世代:76%
- X世代:66%
- 団塊世代:49%
▽必要でない服を「よく購入する」と答えた割合
- ミレニアル世代:69%
- X世代:53%
- 団塊世代:45%
お金に関しては堅実で、家や自動車のような高い買い物は控え、投資や運用に高い興味を持つ彼らも、最新ガジェット・必要でない服のようにそれほど高くない上に、自分の欲求を満たす商品・サービスについては比較的財布のヒモが緩いようだ。
お金の向き合い方からミレニアル世代のことをよく知る
デジタルやITに慣れスマートフォンが欠かせないミレニアル世代は、より上の世代からみると考え方が理解できないこともあるかもしれない。けれど今回みてきたように、お金に関しては彼らがより上の世代よりも堅実であり、シビアに考えている傾向がみてとれる。
彼らを理解できないという上の世代は、このようなお金との向き合い方から、ミレニアル世代のことを理解してみてもよいのではないだろうか。
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<参照元>
ミレニアル世代は貯金意識が高く、投資や資産運用に興味あり?消費意識やお財布事情などを調査
市場調査メディア ホノテ by Macromill