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就職は、地元企業にするべきか、東京の企業にするべきか。そんな悩みを持つミレニアルズは、多いのではないだろうか。
一方で、地方の中小企業は、人材不足に悩んでいる。廃業を余儀なくされるケースもあるほどだ。
国が進める「地方創生」は、東京への一極集中を是正することを目標にしている。地方から東京圏への人口転入を抑え、地方における若者の雇用数を増やしたい考えだ。
こうした問題を解決するために登場したのが、「モグジョブ」。地元大学生と企業を“学食”でつなぐマッチングサービスだ。
まずは現状、地方の大学生と企業が抱える問題を確認したい。
地方創生へ向け解決すべき社会的課題。「東京一極集中」と「早期離職」
中小企業庁が公表した「2017年版中小企業白書」によると、ここ20年で、従業員規模29人以下の企業における従業員数は、約215万人減少している。
その一方で、従業員規模500人以上の企業では、約382万人増加している。
人材が大企業に集中し、地域の活力と雇用を支える中小企業の人材が減少しているのがわかる。
中小企業は、大手企業と比較してメディアなどへの露出が少ない。認知度の低さが、人材不足の最大の要因と考えられている。
また、厚生労働省が公表する「新規大卒就職者の離職状況」では、新規大卒就職者の32.2%が入社3年目までに企業を退職する、というデータが示されている。
こうした早期離職の問題も、大きな社会的課題だ。
学生は、限られた時間の中で就職先を決める必要がある。企業の業務内容や、労働条件等についての理解が不十分なまま入社することで、ミスマッチが生じ、早期離職につながると考えられる。
そこで必要なのは、地方中小企業が学生への認知度を高め、学生が地元企業への理解を深めることだ。モグジョブは、こうした課題の解決を目指して開発されたマッチングサービスだ。
“学食”で地元大学生と企業をつなぐ。マッチングサービス「モグジョブ」
2018年10月2日、株式会社タスキは、マッチングサービス「モグジョブ」をリリースした。
タスキは、2016年に設立された、東三河の求人・企業・生活情報メディアを展開するスタートアップだ。
愛知県三河地域の豊橋商工会議所と共同で、「モグジョブ地方創生プロジェクト」を立ち上げている。地元企業の認知度を向上し、地方学生の就職における満足度を高め、地方創生を目指すプロジェクトだ。
タスキ代表の種田憲人氏は、東京で育ち、東京の都市銀行に就職した。のちに、愛知県豊橋に転勤したことがきっかけで、豊橋にIターンで起業したという。
モグジョブは、お昼休みに学食でランチを食べながら、学生と企業の社会人が少人数で交流するサービスだ。
企業と学生は、事前にモグジョブに登録する。参加日程、興味・関心のあるテーマを選択すれば、モグジョブがシステム上でマッチングさせる。
スマホやPC上で企業と学生をマッチングすることで、地域で活躍する社会人と学生に、気軽に会う機会を提供できる。
企業にとっては、自社を認知してもらうチャンス、学生にとっては、キャリアについて知るチャンスとなる。学生にとっては、ランチ代を社会人に奢ってもらえるチャンスにもなる。
モグジョブは、リリース前の6~7月に、豊橋技術科学大学と愛知工科大学で、サービスの提供を実施している。
マッチングされた学生の71%が地元企業に興味を持ち、企業の88%がPRとして有効だと回答する結果となった。アルバイトや工場見学につながった例もあるようだ。
10月からは、豊橋市にある、豊橋技術科学大学と愛知大学豊橋キャンパス、豊橋創造大学でサービスの提供を実施する。市内での成果を確認し、他の地方都市、特に大学のある地域への展開を考えているようだ。
これからの就活で必要なのは、「だから私はこの会社で働く」という理由
学生は、社会との限られた接点のなかでの経験やイメージだけで、進む道を狭めてしまうことがある。Webなどで“聞いたことがある”企業に就職すればいい、みんなと同じ選択をすればいい、と考えがちだ。
地元で何が起きているかを知らずに、地元から離れ、イメージだけで就職すれば、ミスマッチによる早期離職の可能性も高くなる。
モグジョブのような、企業と学生を結ぶマッチングサービスを利用することで、さまざまな地元企業を知ることができる。
社会人との交流を通じ、「だから私はこの会社で働く」という理由を発見し、自分のキャリアについて幅広い視野から前向きな選択をすることが、これからの若者に求められているのかもしれない。
img: PR TIMES