昨今では、自動車分野や物流などで、IoT技術が多くの場で使われている。さまざまなモノとインターネットが繋がっているIoT時代に突入しているが、そのなかでも狭い周波数帯を対象とした通信規格のNB-IoTは高い注目を集めている。

『ソフトバンク株式会社』は、IoTデバイス向けのLTE通信規格のNB-IoTにおいて、3GPPで規格化されたNIDD(Non-IP Data Delivery)技術の商用環境での接続試験に成功した。これは世界で初めての例である。ソフトバンクはこれを受けて、サービス事業者を募り、試験サービスの提供を開始する。

NIDDとは

NIDDは、IoTのデバイスにIPアドレスを割り当てずにデータ通信を行うことができる通信技術である。通信の際にインターネットプロトコルを使用しないので、IoTデバイスへの攻撃を受けるリスクが減る。そのため、高いセキュリティーネットワークを構築することができる。

NIDDは、データ通信で必要なヘッダー情報などが不要であり、通信に必要な電力を抑えることを可能にする。またバッテリー持続時間が向上し、広いエリアをカバーできるようになる。

それだけではなく、サービスプロバイダーが提供しているIoTプラットフォームや外部アプリケーションサーバーと閉域網で接続することで、高セキュリティーネットワークの構築を実現する。

ソフトバンクは今後、NB-IoTおよびCat.M1(カテゴリーエムワン)のサービスに加え、新たにNIDD技術の導入を検討しており、社会インフラや農業などのさまざまな領域で、対応するデバイスを順次取り入れていき、商用化を目指していくと述べている。

NIDD技術で加速するNB-IoTの商用化

NB-IoTの商用化は、少し遠い未来というような声もあるが、欧州ではすでに商用サービスが始まっている。今後は、日本も含め世界的にNB-IoTの商用サービスが次々と誕生することが予測される。

日本では、農業従事者が高齢化しており、後継者不足が深刻な問題として挙げられているが、NB-IoTが展開することで、家畜の状態や雨量の計測を人手なしで行うことができるようだ。

NIDD技術の「高セキュリティー」「低消費電力」「高エリアカバー」の特徴が加わることで、社会システムのIoT化はより加速することだろう。

img:SoftBank