働く主婦の1/3が“うつの経験あり”。うつが身近な存在となった時代をどう生き延びるか

ストレス社会といわれる現在、「うつ病」をはじめとする気分障害にかかる人が増えている。

厚生労働省の調査によると、日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいだった。しかし、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しているという。

特に、女性の場合、職場などでのセクハラ、過労に加え、出産という大きなライフステージが待っている。このため、妊娠中や産後には精神的に不安定になる人も多く、「鬱病」に対する警戒は必要だろう。

株式会社ビースタイルが運営する主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』の調査機関しゅふJOB総研は『仕事と鬱(うつ)』をテーマに働く主婦にアンケート調査を行った。

その結果、これまでの経験の中で働いている期間にうつになったことが「ある」女性は33.8%にも上ることがわかった。

うつになったことが「ある」女性は33.8%も

この調査は、ビースタイル登録者/求人媒体『しゅふJOBパート』登録者999名を対象としたもの。

まず、うつになった経験の有無を聞いたところ、これまでの経験の中で働いている期間にうつになったことがあると答えた女性は33.8%にも上った。

実に、3人に1人がうつの経験があることになる。かつて、これほど気分障害多い時代があっただろうか。

次に、うつになったことが「ある」の年代別集計を行ったところ、30代以下は「ある」が41.7%、40代は「ある」が33.5%、50代以上は「ある」が30.7%となった。

これをみると、年代が下がるほどうつの経験が多いことがわかる。うつはよく頑張りすぎる人がわずらうといわれているが、若い女性ほどその傾向が強いのだろうか。

また、うつになったことが「ある」とハラスメントとの関係性についてクロス集計した。

上記アンケートでは、まず「現在も含め、これまでの職場でセクハラやパワハラなどのハラスメント(嫌がらせ)を受けた経験はありますか。(複数回答)」と質問。

これに対し「ハラスメントを受けたことはない」「セクハラを受けたことがある」「パワハラを受けたことがある」と回答した人と、「現在も含め、これまでの経験の中で働いている期間に鬱(うつ)になったことはありますか?」との質問への回答とのクロス集計したものだ。

その結果、「ハラスメントを受けたことはない」と回答した人は「ある」が13.3%、「ない」が86.7%、「セクハラを受けたことがある」と回答した人は「ある」が40.9%、「ない」が59.1%、「パワハラを受けたことがある」と回答した人は「ある」が47.3%、「ない」が52.7%となった。

そして、うつになった原因をきいたところ、「頑張り過ぎによる過労」が54.4%とトップだった。以下、「仕事のプレッシャー」が49.4%、職場での上司の嫌がらせ・無理解が49.1%と続いた。

やはり、前述したように頑張りすぎが原因となることが多いようだ。ただここで気になるのは、「家庭での夫からの嫌がらせ・無理解」が17.8%、「家庭での夫以外からの嫌がらせ・無理解」が5.3%と、仕事以外でも23.1%もの原因があることだ。

本来なら安らぎの場所であるはずの家庭が原因となるのは、意外な結果だ。

以下で「その他」と回答した人のフリーコメントより抜粋する(年代:雇用形態)

働き方改革推進の鍵を握る過労と精神的苦痛の排除

今回の結果について、しゅふJOB総研 所長の川上敬太郎氏は次のようにコメントしている。

「1/3強の人が「ある」と回答しました。鬱は職場において身近な存在だといえます。過労と精神的苦痛の排除は、働き方改革推進の重要な鍵を握っているといえるのではないでしょうか。

ぜひ今回の調査結果を心の健康を保つ上での参考にしていただきたいと思います。」

川上氏のコメントのとおり、働き手の職場の過労と精神的苦痛の排除こそが真の働き方改革につながるのではないだろうか。

img:PRTIMES

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